法のくすり箱
Q、震災当時早番で仕事に行く途中で、歩道横のブロック塀が倒れてきて大ケガをしました。今震災では労災の認定が受けられると聞きましたがどうでしょうか?
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- A、労災(労働者災害補償保険)とは、業務上あるいは通勤途上の労働者の負傷・疾病・障害・死亡に対して保険金の給付を行うものです。しかし天災の場合は、原則として不可抗力によって発生したもので適用されないというのが労働省の解釈です。
しかし昭和49年の伊豆半島沖地震で「業務に伴う危険がある場合」には労災を認定するとの通達が出され、“業務起因性”があれば天災を一概に業務外とはしない判断が示されています。
そしておっしゃるとおり、今回の震災にも同様な内容の通達が出され、作業方法や作業状況・仕事場の状況などが危険な環境下にあったため被災したなどといった場合に労災認定をすることとなります。さらに労災適用の例として、トラック運転手が高速道路の崩壊により被災したときも「構造上の脆弱化が現実化したものと認め業務上とする」と具体的にあげられており、かなり広い解釈で、“業務起因性”を扱っています。
ですから、個々のケースで適用されるかどうかが判断されるわけですから、業務中あるいは通勤途中に被害にあわれた場合には、すべて労災請求をする価値はあるでしょう。しかも、事業所の倒壊や焼失で正式な請求書をそろえられなくても、任意の書式で請求できるように手続き上も柔軟な措置が認められていますので、是非、一度労働基準監督署に出向かれて相談なさって下さい。

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