法のくすり箱


Q、借地上の持家が地震で全壊しました。借地契約は新しく結びなおさなければならないでしょうか?ここにまた家を再築するのに家主の同意は必要でしょうか?また、区画整理地区に入っていると聞きましたが、大丈夫でしょうか?

A、借家の場合には、その建物が滅失すれば同時に賃貸借契約も消滅します。しかし、借地の場合には、たとえ地上の建物が滅失したとしても契約は消滅せず借地権は残りますのでご安心下さい。
 しかも今回は罹災都市法が適用されたため、借地期間の残存が10年未満であった土地については平成17年2月5日までと借地期間が延長される措置がとられています。また、どさくさに地主が第三者に土地を売却したとしても、この借地権を登記のあるなしにかかわらず新しい地主にも主張することができます(くわしくは「罹災都市法」の解説参照)。
 また、以前からの借地契約が継続しているわけですから、新たに契約を結びなおす必要はまったくありません。
 さて家を再築される件ですが、地主の承諾がなくても可能です。これまでの借地契約の中に増改築禁止特約があったとしても、地主の承諾は必要ありません。この特約は従来の建物を自らの意思で取り壊すことを前提としており、このたびの地震や火事のように災害で滅失したことによる再築については特約の範囲外と解されるからです。
 ただ、従来の契約で木造であったのに新たな契約を鉄筋コンクリートにするなど(非堅固建物→堅固建物)の変更をする場合には、借地条件の変更として交渉が必要です。この交渉がまとまらないときには、裁判所に申立てることによって許可が得られる仕組みがあります(非訟手続)。
 次に土地区画整理事業についてですが、とりあえず市役所あるいは区役所にでかけて、当該土地にどういう計画がなされているのかを確かめ説明を聞く必要があります。事業の施行区域に指定されているようならば、換地や面積削減(減歩)の対象となります。しかし事業区域内であっても2階までの木造・鉄筋ブロック造の家屋を建てることは許されています(都市計画法54条)。また区画整理で現実に立退きや移転をするときには、一定の基準の下に建物の移転費用(建築費用ではない)の補償や移転で営業が妨げられる損失に対する補償が行われます。あなたの居住の条件(そこですぐにも営業する必要があるか など)をよくご検討されることが肝要です。
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