法のくすり箱
Q、ローン途中なのですが、事情があって車を友人に売りたいと思っています。ローン中の車の売買についての注意点や、売却後の車の名義変更手続きについて知りたいのですが?
A、ローン契約の品物については、手にした時点で自分の所有物になったと思いがちですが、実はローンを完済するまでは所有権は売主に留め置かれているのです(所有権留保)。契約条項にもその旨があるはずですし、もしなくても割賦販売法7条により、売主に「留保されたものと推定する」ことになっています。
ですから、もし勝手に他人に売ってしまったら、あなたは横領罪に問われてしまいますし、残金の一括返済を迫られ、払えないなら車を引き揚げられてしまうことになりますのでご注意ください(刑法252条1項)。
また、後々のトラブルを避けるため、ローン会社はローン契約の引継ぎにはまず応じてくれません。ですから、友人に売ったお金でローン残額分を一括して支払ってしまい、晴れて車をあなたの所有とすることが先決です。一括返済すれば、ローン残高合計額よりも利息分がいくらか安くなりますし、一度友人とご相談されてはいかがでしょうか。
次に車の名義の変更です。所有者の変更は「移転登録」と呼ばれ、所有者が変わってから15日以内にしなければなりません。新所有者の住所地の陸運支局または自動車検査登録事務所(軽自動車のときは軽自動車検査協会)へ、新旧所有者がそろって出向くことになります。もしどちらか一方しか行けないときには、委任状が必要です(道路運送車両法13条・自動車登録令10条)。持参するものは譲渡証明書・車検証・新所有者の住民票・実印・印鑑証明書などです(軽自動車の場合は認印でOK)。もしあなたが行かれないのなら、いくら友人だからといって実印を預けるようなことは避けるべきです。実印と印鑑証明を他人に預けることは応々にしてトラブルの元となるからです。あらかじめ申請書類の必要な箇所に署名・押印して渡すようにしましょう。
なお、陸運事務所の管轄が変わるときには当然ナンバープレートも変更になりますので、当該車に乗っていかれることです(車両法28条の3・33条・登録令14〜18条)。そして、問題がなければその日に移転登録が完了します。ただ、状況によってさらに書類等の提出を求められることがありますので、出向かれる前に一度問い合わせてみた方がよいでしょう。
また、移転登録と同時に自動車税・軽自動車税についても変更手続きをとらなければなりません(自治体によっては名義書き替えに伴って自動的に変更される)。
自動車税は都道府県税のひとつで、4月1日現在の所有者に対して課税されるものです。年度の途中で所有者が他の都道府県に変更になった場合には、月割りで新旧所有者にそれぞれ課税され、旧所有者がすでに納税しているときには還付もあります。しかし、同じ都道府県内では、4月1日現在の持主にのみ課税されますので友人と話し合って分割して支払うことになるでしょう(地方税法2章第8節自動車税)。
これに対して軽自動車税は市町村税に属し、同じく4月1日現在に所有している人に課税されます。しかし、自動車税とは違い年度の途中で所有者が変わっても還付はありませんが、逆に途中で新所有者になっても次の4月1日まで課税されません(地方税法第3章第3節軽自動車税)。
くわしくは、財務事務所や市町村役場の納税係へお問い合わせ下さい。

ホームページへカエル
「金の貸し借りQ&A」目次へもどる
次のページ(法のくすり箱「担保不動産――相続した土地が抵当に入っていた!」)へ進む