法のくすり箱
Q、免許とりたてで違反をすると、事故防止のために特別にきびしい講習を受けなければならないと聞きました。初心運転者の違反に対してはどのような内容の講習が行われているのでしょうか?
A、免許を受けた日から1年の間(初心運転者期間)に違反行為の合計点数が一定の基準(3点以上)に達した場合には、公安委員会から「初心運転者講習」を1ヶ月以内に受けるようにとの通知が届きます(道路交通法108条の2・3)。
違反の合計点数が3点以上とは、たとえば、1回目信号無視(2点)・2回目駐車禁止(1点)で計3点、あるいは、1回目20km〜25kmのスピード違反(2点)・2回目踏切の不停止(2点)で計4点、などの場合がこれに当たります。ただし、1回目の違反が、過積載で3点とか、高速道路での25km〜40kmのスピード違反で3点など、単独の違反で3点になった場合に限り、この講習を免れます(施行令36条。同時に複数の違反を犯して3点になった場合はアウト)。
講習の場所としては、人員や設備など講習を行う環境が、定められた基準を満たしている自動車教習所などが通知書に具体的に指定され、受講は予約制となっています(法108条の4、指定講習機関に関する規則)。
講習の時間は普通免許・二輪免許については七時間、原付免許は四時間(規則38条10項)。講習の費用は普通免許・原付免許は1900円、大型二輪免許は2600円、普通二輪免許は2400円(いずれも1時間あたり)。あわせて講習の通知手数料として900円も支払わなければなりません(法112条)。
内容もきびしいものとなっており、運転者としての資質や運転について必要な技能・知識の向上を目的とした講習や適正検査、運転実技の訓練やグループディスカッション、講習についての感想文の提出などが行われます。
もしこの講習を1ヶ月以内に受けなかった場合には「再試験」となります。またこの講習を受けても、残りの初心運転者期間中に、再び前記と同様合計3点以上の違反をした場合には、「再試験」となりますのでご注意ください。再試験では教習所の卒検さえ通れば実技試験が免除されるというような制度はありません。あくまでも、公安委員会が免許更新センターなどで行う学科試験と実技試験の両方を受けなければならないのです。この公安委員会の実技試験は非常にきびしく採点されています。
もしこの再試験に不合格だったり、再試験も受けなかった場合には、免許は取り消されてしまいます(法100条の2、104条の2の2)。ただしこの場合、免許の欠格期間(=新たに免許を取ることができるまでの期間)は定められていませんので、すぐに免許を取りにいくことはできます(申請すれば、仮免許は交付してもらえる)。
ちなみに、過去に免停がないときには、違反点数が6点〜14点になると免許を停止されます。もし初心運転者期間中に違反点数が6点以上になると、この初心者講習に加え、免許の停止、さらに免停処分者講習とトリプルパンチになってしまうのでご承知おき下さい。
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なお、この10月1日より、軽微違反者へのボランティア講習や75歳以上対象の高齢者講習がスタートしています(そよ風89号参照)。

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