法のくすり箱
Q、この何日か祖父の危篤が続いています。悲しいことですが死亡にそなえなければなりません。私が、死亡に伴う届出や葬儀のための手続をすることになったのですが、どのような手続があるのでしょうか?
A、わが国では、人が亡くなったとき、役場に届け出てからお葬式をあげ、それから遺体を火葬し、焼骨を埋蔵したり納骨してとむらうのがふつうです。地域によっては火葬ではなく遺体をそのまま埋葬する風習も残っています。
さて、病気や老衰などで亡くなったときには、医師に診断してもらい、死亡診断書を書いてもらいます。この死亡診断書は、死亡届の右側の部分に印刷された形式となっています。そして、あなたのような親族や同居人は、死亡後7日以内に死亡診断書の記入のなされた死亡届を、死亡地の市区町村役場に提出しなければなりません(戸籍法86条1項・87・88条)。もちろん、お葬式を控えているあなたは、7日以内などと悠長なことを考えるいとまはなく、死亡届を急がなければなりません。死亡届等は、日曜祭日でも、深夜の執務時間以外でも、いつでも受け付けられます。ちなみに死亡届の提出場所も死亡地の役場に限らず、亡くなった人の本籍地や届出人の住所地の役場でもかまいません(同25条)。
この死亡届を出すときには、必ず、一緒に、火葬許可証(又は埋葬許可証)の交付申請書を同時に提出して許可証をもらいましょう。この許可証は、死亡届を役場に提出するときに、役場の方で心得て交付してくれます。墓地や埋葬についてはとくに法律があり、火葬や埋葬は、死亡後24時間以内にはこれをしてはならず、火葬や埋葬には市町村長の許可を必要とするのです(墓地、埋葬等に関する法律3・5・8条)。ちなみに火葬場では火葬許可証を提出して火葬にしてもらうと、火葬場の管理者が火葬済の署名押印をしてこの許可証を返してくれます。この許可証がなければ、墓地や納骨堂の管理者は焼骨の埋蔵や納骨を受け付けてくれませんのでご注意下さい(同14条)。
ですからお葬式をとり行う段階では、死亡届を済ませ火葬許可証を取得しておかねばなりません。死亡届の書式は、各市町村役場や大きな病院などに備えています。ところで死亡診断書への記入はあなたが医師に依頼するとして、それ以降の役場や火葬場での手続は、葬儀社が代行することが多く、死亡診断書まで葬儀社が書いてもらってくることも少なくありません。
しかし、死亡に伴うとり込みでうろたえて何もかも葬儀社のペースにならないためにも、このような届出の仕組みになっていることをわきまえておられるにこしたことはありません。
なお、事故死や変死の場合のように死因に疑いがあり、死亡診断書がかけないケースでは死体検案書が作成されます。
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☆死体検案書
普通、病死など自然死の場合はかかりつけの医師や担当医に死亡診断書を書いてもらう。しかし、事故死や変死など死因に疑いがあるようなときは、警察に届け出て検視をしてもらわなければならない(刑事訴訟法229条)。死体は監察医によって検視され、死亡診断書のかわりに死体検案書が作成される。
検視を受けなければならないのに、受けずに埋葬等をすると罰せられるのでご注意下さい(刑法192条)。

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