Ａ、弁護士の資格をもつ者は、全員、各地の弁護士会に所属し、全国組織として日本弁護士連合会（日弁連）という団体が置かれています。弁護士の報酬は、この日弁連報酬等基準規程（平成７年１０月１日改正施行）によってこまかく具体的に決められていました。
　しかし、平成１６年４月から、この報酬基準は撤廃され、各弁護士との自由な契約によって報酬は決められることとなりました。そのため、各法律事務所では、それぞれ報酬基準を作成し、常備しています。相談、契約に際しては遠慮なく納得のいくまで確認されることです。
　事務所によっては、経済的利益の額に応じて報酬を決めていたり（従来どおりの日弁連方式，下記旧報酬基準参照）、時間制（タイムチャージ制）で報酬を決めるなど、現在ではさまざまな形で独自に計算されています。
　なお、ご参考のために、平成１６年３月まで全弁護士が使っていた日弁連の報酬等基準を掲載します。この数字がある程度のメドになるかと思います。


＜従来の日弁連報酬等基準では……＞
　たとえば、お悩みのトラブルが、法律事務所に出向き弁護士と相談して目処がたつなら、初回の法律相談料は（事業に関するもの以外）３０分ごとに５０００円〜１万円、事業に関するものや２回目以降でも３０分ごとに５０００円〜２万５０００円の間で、各地方の実情に応じて弁護士会ごとに標準額が定められています。
　もしトラブルの相手に内容証明郵便を送ることになれば、基本的には、直接あなたの名前で差し出すなら１万円〜３万円、あなたの代理人として弁護士の名前で差し出すなら３万円〜５万円の間で、同じく各地の弁護士会ごとに標準額が決められています（ただし、複雑・特殊な事情があれば弁護士との協議で額を決めることとなる）。
　訴訟をせざるを得ない場合には、その経済的利益に基づいて報酬が計算されます。たとえば、５００万円の貸金の返還を求める裁判なら５００万円、家賃などの増減請求なら増減額の７年分、土地の所有権の争いなら当該土地の時価をもとに経済的利益が算定されます（経済的利益を算定できないときには８００万円とする）。この経済的利益に応じて、事件に着手したときに下表のとおりの着手金を支払うこととなります。そして裁判の結果、たとえば５００万円のうち３００万円取り戻せたらその３００万円に対して、また賃料の増減請求でその５０％が認められたのならその５０％の７年分に対して等々、裁判によって得られた経済的利益が再び算定され、これに対して下表のとおりの報酬金を支払うこととなります。このうち、着手金は最低１０万円。ただし、経済的利益が１２５万円未満の事件では事情によりさらに減額されることもあります。また、表により計算されるのは標準額で、事件の内容や難易度・長さ等により、この標準額の上下３０％の範囲での増減が認められています。


経済的な利益の額	着　手　金	報　酬　金
〜３００万円以下	８％	１６％
３００万円〜３０００万円	５％＋９万円	１０％＋１８万円
３０００万円〜３億円	３％＋６９万円	６％＋１３８万円
３億円〜	２％＋３６９万円	４％＋７３８万円


　ですから、たとえば５００万円の訴訟で満額勝ち取ることができたとすれば、着手金として標準額が３４万円（最低２３万８０００円〜最高４４万２０００円）、報酬金として標準額が６８万円（最低４７万６０００円〜最高８８万４０００円）支払うこととなります。
　裁判に伴って出張等の必要があれば、その交通費・半日当（往復２〜４時間で３万円〜５万円）・日当（４時間を超えて５万円〜１０万円）が別途入り用です。また、裁判を提起する際には、裁判所に一定の収入印紙と予納郵券（切手）を納める必要があります。
　もし裁判に至らない調停事件や示談交渉事件の場合には、これらの着手金・報酬金はそれぞれ３分の２に減額することができます。
　このほか、手形・小切手の訴訟、離婚事件、破産事件、あるいは刑事事件、また、遺言書や契約書等の作成手数料についても、すべて個別・具体的に定められていますので、とりあえず、法律事務所に出向いて相談されて、どういう方向で進むのか決める際に、着手金や報酬金についてはっきり確認されるとよいでしょう。

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