
法のくすり箱
Q、隣人が毎日夜遅くまでステレオをかけるので、うるさくて困っています。何回かかけあってみたのですが、一向に取り合ってくれません。法的に何か規制されていないのでしょうか?
A、工場騒音・建築騒音・交通騒音については「騒音規制法」によって規制されていますが、生活騒音(ステレオ・ピアノの音・人声・ルームクーラーの音・ペットの鳴き声など)の規制は都道府県・市町村の条例にまかされており、しかもそこまで規制している条例は多くありません。すなわち、住宅が密集した中で社会生活を営んでいく以上、このような生活騒音に対しては、多少のことは我慢すべきであり、当事者の相互理解が重視されているのが現状です。
しかしながら、いくら法で規制されていないからといっても、我慢には限度があります。話合いで解決できればそれにこしたことはないのですが、あなたの場合無理のようですので、まず、都道府県・市町村の公害課へいって相談してみてください。条例があればそれに基づいて指導してくれます。たとえば神戸市の場合は、「神戸市民の環境をまもる条例」で、区域・時間帯に分けて生活騒音の規制基準を定めています。
また、軽犯罪法では「公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者」は拘留または科料に処する(1条14項)旨が規定されているので、もよりの警察署に相談して警察から注意してもらう方法もあります。
それでも効果がなければ、裁判所に調停あるいは訴訟を申し立てればよいでしょう。その音が社会通念に照らして受忍限度(共同生活上我慢すべき限度)をこえていれば、騒音発生者の行為は違法なものとなり(不法行為、民法709条)、したがって、精神的な損害賠償の請求や騒音を防止するための差止請求ができるからです。
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