
法のくすり箱
Q、3日前、私の友人が酒酔い運転で死亡事故をおこし警察に現行犯逮捕されました。現在なお拘置されています。連絡を受けた友人の奥さんから、これからどうなるのか、どうしたらよいのかと、私に相談の電話がありました。私もよく分からないので基本的なポイントを教えていただきたいのですが……
A、3日前に現行犯逮捕されたということですね。逮捕されますと、警察でそれに伴う留置が48時間認められます(刑事訴訟法203条、217条)。それだけで取調べがすめば釈放されますが、そうでなければさらに検察庁で24時間引続き留置することが認められています(同205条、217条)。あなたの友人は、おそらく住所・氏名も明瞭であり、現行犯で証拠も隠しようもなく、通常、逃亡のおそれもないということであれば、それ以上留置する理由はないはずですから、72時間、ちょうど3日たった今日あたり釈放されるのではないでしょうか。
しかしあなたの友人に証拠隠滅・逃亡などの特別な事情が疑われる場合には、検察官は裁判官に勾留を要求し、裁判官が勾留を決定したときには、最初の3日間に引続いてさらに10日間留置されます。そして事件が非常に複雑な場合や、被疑者が頑強に事件を否認しているような場合(あなたの友人は該当しないと思われますが)は、さらに10日間勾留が延長されることがあります(同207・208条、217条)。
右のような留置取調べを経て、あなたの友人は業務上過失致死罪で起訴される公算が大であると思われます。
ところで、起訴される前の被疑者の段階でも弁護士をつけることは可能です。あなたの友人が3日間で釈放されず、引続き勾留に移行するようなら、弁護士をつけることにより、事情を把握し本人を勇気づけることを検討して下さい。知り合いの弁護士がいなくとも、現在、全国の各弁護士会に当番弁護士という制度があります。1回は無料で被疑者に面会してくれることになっておりますので、警察署や弁護士会へ当番弁護士を呼んでほしいと言って下さい。すでに、当番弁護士は各警察署の留置の実務の中に定着してきています。
そこで、被疑者としての心得ごとですが、次のとおりです。
- 逮捕されたら、知り合いの弁護士がいればその弁護士に、いない場合は前記の当番弁護士を呼んで下さいと要求すること。
- 事件が明白な場合は別ですが、とくに事件が誤解されやすい事情がある等の場合には、弁護士の助言を得るまでは内容を黙秘すること。
- 調書をとられた場合、内容が違っていたり、自分の思うとおりに書かれていないときには、はっきりとその点の訂正を求め、訂正されない限り署名を拒否すること。
- 事実を正しく陳述し、かつそのとおりに調書に記述してもらうことは、正しい裁きを受け誤判を避けるための公的な義務でもあることを認識することです。

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