法のくすり箱


Q、私たち夫婦は4年前まである町で小さな商売をしていたのですが、夜逃げをして今の町に来ました。経営の不振からあちこちのサラ金に手を出して500万円ほどになったところで全く支払いができなくなり夜逃げしたものです。各地を転々とした末、最近、この町の会社の独身寮に管理人として夫婦で住込みの職を得てようやく落ちついた矢先に、大手のサラ金T社から支払いを求める通知が届きました。T社だけで済むならば、無理して支払うことを考えていますが、支払っても大丈夫でしょうか?


ことば欄

★☆免責☆★

 破産者の経済的な再起・再出発を助けるために、誠実な破産者に対しては責任を免除しようとする制度(破産法366条の2以下)。
 破産者は、破産の手続きがなされている期間内(同時廃止といって破産手続きが破産宣告と同時に終わってしまう場合にはそれから1ヶ月以内)に裁判所に対して免責を申立てることができる。そして(1)破産に至る過程で本人が詐欺や虚偽陳述などをしていたり、(2)過去10年内にこれまで破産者として免責を受けたことがあったり、(3)破産者の義務(居住制限など)に違反したりしていなければ免責を受けることができる(366条の9)。
 免責を受けると、破産手続きで債権者が弁済を得なかった部分についてもゼロとなる(もっとも租税や破産者の悪意による不法行為の賠償金など、特別のものは免責されない。366条の12)。また破産者としての就職制限等も解かれて復権することができる。
 ちなみに、英米ではこのような免責の制度が古くから採用されていたが、独仏墺などでは採用されていなかった。ドイツは統一後初めて免責を導入したが、免責には7年間の善行保持期間を義務づけることにしている。他方、わが国は免責を認めているが、一律かつ無条件に認めるのではなく、誠実性という倫理的要素を考慮することにしている。

ホームページへカエル
「金の貸し借りQ&A」目次にもどる
次のページ(法のくすり箱「借金逃れに”擬装”離婚!?そんな必要はありません」)に進む