
法のくすり箱
Q、先日、私の家に××盲人協会という団体から、注文した覚えのない歯ブラシセットが郵送されてきました。添えられた手紙には、盲人の福祉に役立てるからということで、2000円送金するようにと書いてありました。また、不要の場合は2週間以内に返品してほしい、返品がなければ買い上げたものと扱わせていただきますとのこと。あまりに一方的ではないでしょうか?
A、品物を一方的に送りつけてきた場合、これは売主からの売買契約の申込にすぎなく、あなたが申込を承諾するかどうかは、まったくあなたの自由です。買取の義務もなければ、返送する義務もないのです。
特定商取引法(旧訪問販売法)によれば、(1)品物を送ってきた日から14日が経過するか、または、(2)あなたが購入する意思がないから引き取ってほしいと連絡して7日が経過したときには、そのときにはもはや販売業者は送った品物の返還を請求できないことになっています(59条)。ですからこれらの期間が経過した後であれば、あなたは品物を使用処分しても販売業者からとやかくいわれることはないこととなります。
ただ、これらの期間が経過する以前に品物を使用し処分したときには代金支払義務が生ずる問題があり(品物を使用処分する場合には売買を承諾する行為とみなされる、民法526条)。いつ品物を使用処分したかについては問題のおこらないように注意が必要です。
それにまた、これらの期間の過ぎるまであなたは品物を保管しておかなければなりません。送付された品物の所有権は送った側(販売業者)にあり、あなたのものではないからです。
なんと迷惑な話ではありませんか。このため、品物を受け取った消費者側では、(1)自分の費用と負担において業者へ品物を返送するもの、(2)購入したものとみなすという説明を信じてやむなく送金するもの、(3)少し品物の外装を傷めたぐらいでも業者とのトラブルを避けるために代金を支払うものなどがあらわれ、これが押しつけ販売業者のつけめとなっているのです。
注文もしていないのに一方的に商品を消費者に送付するようなことは、まっとうな業者はもちろん、いやしくも福祉目的のボランティア団体ではきびしく自粛しています。厄介な話ですが、不審なときにはよく確かめて、慎重に対処して下さい。

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