
法のくすり箱
Q、私は戸籍上父Xと母Yの実子と記載されています。しかし、ほんとうは父の妹Aとその夫Bとの間に生まれた子です。父母には子どもがなかったため跡取りとして私を妹夫婦からもらいうけたそうです。戸籍上、養子と記載されていると将来私が肩身の狭い思いをすると考えて戸籍上実子として届け出たそうです。去年、私のほんとうの親であるこの叔母夫婦が交通事故で亡くなりました。叔母夫婦には、私のほんとうの兄にあたる実子が1人いましたが、同じ交通事故で亡くなっています。私はその事故の賠償の件で、保険会社の人に、叔母夫婦ABの実子である旨を話したのですがなかなか信用してもらえません。今後、私としてはどのように対応すれば良いのでしょうか?
A、あなたが戸籍上お父さんの妹夫婦A・Bの子どもでない以上、保険会社があなたとの話し合いに応じないのも無理からぬことです。今後の保険会社との交渉や訴訟を円滑に進めるためにも、ここはあなたの住所地を管轄する地方裁判所に、A・Bとの親子関係存在確認訴訟を提起すべきです。
ところで、あなたの場合、すでに実親A・Bが死亡しているので、実親を被告として訴訟を提起することはできません。このような場合には公益代表である検察官が被告となります。実親が死亡していますので、血液鑑定やDNA鑑定を行うのも無理と思いますが、あなたの出生の秘密をくわしく知っている人が現在の父母X・Yのほかにも親戚などで何人かはいると思いますので、その人達の協力を得られれば、勝訴する可能性は高いと思います。
この訴訟で勝訴すれば、あなたはA・Bの相続人であると確定するわけですから、保険会社の対応も変わるでしょう。
なお、あなたとA・Bとの親子関係の存在が判決で確認されるとその旨の戸籍の訂正が行われますが、逆にあなたと現在の戸籍上の父母X・Yとの親子関係は否定されます。そのため、今後も父母X・Yの子として生活をしていくなら、X・Yとの養子縁組届出をしなければなりません。この養子縁組届出をしても、あなたの実の父母A・Bに対する相続権は否定されることなく存続します。
したがって、X・Yからの相続や、あなたの姓(現在は父母X・Yの姓を名乗っているはず)などのことも考えて養子縁組をするか否か考えてみてください。

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