法のくすり箱
Q、1年契約の嘱託社員としてある会社につとめています。入社とともに会社の保養所に出向して、住み込みでもう6年もつとめていますが、労働組合には入っていません。正社員と同じように組合に入れてもらうことができれば何かと心丈夫なのですが……嘱託社員やパートタイマーなども組合をつくったり、組合に加入したりすることができるのでしょうか?
A、嘱託社員・パートなどの臨時従業員も、一般正社員と同様に団結権を認められた労働者です。自由に組合を結成し、または現在ある組合に加入することのできる労働組合法上の地位を有しています。臨時従業員が組合を結成するというのであればもちろんこれは自由であり、使用者がこれを妨害したりこれを理由に不利益な取扱いをすることは許されません(不当労働行為、労組法7条)。もっともあなたは現在存在する労働組合に加入したいという希望であり、もちろん、加入することは憲法上保障された権利です。
しかし、実際に加入ができるかどうかということになれば、その組合が自己の組合員の範囲をどのように規定しているかという組合の自治の領域と関係してきます。組合が規約で正社員のみ組合に加入できると規定しているときは臨時従業員は組合に加入できませんが、正社員・パートその他の臨時社員の別を問うていないのであれば加入できることになります。ちなみに、嘱託社員が解雇申入れを受けて組合に入れてもらい、組合交渉をもってもらって雇止めが撤回された例(全日空事件)もあります。
とりわけパート労働が普遍化してきている昨今、あなたから組合に申し入れて、臨時社員が組合員になれない規約があってもそれを改正して加入できるようにしてもらうべく努力されることが望まれます。
なお、わが国の労働組合は、かなりの多くのものがユニオンショップ制(すべからく従業員は組合員でなければならないことを組合と使用者とが協約する)をとっており、この場合は、むしろ、パートタイマーなども組合に加入しなければならないたてまえとなっていることを申しそえます。

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