
法のくすり箱
Q、今夏、隣家がクーラーを購入しました。夜、ようやく涼しくなってさあ寝ようと思ったころ、隣家の人がようやく帰ってくるらしく、ガーッという音と熱風がすく枕元でして寝苦しくてたまりません。あまり付き合いもないお宅なのですが、うまく解決する方法はないでしょうか?
A、都会での生活では人びとが密集して生活しており、あなたのようにほんの2〜3メートル離れたところに他人の私生活があることも珍しくありません。そのため、ピアノ騒音、ペットの鳴き声騒音、フローリングによる騒音等々、近隣とのもめごとは近年非常にふえています。
しかし、騒音規制法で対象とされているのは、特定工場や特定の建設作業、自動車騒音などに限られ、こうした日常の生活騒音は含まれていないのが実情です。ただ、全国の都道府県の約4割では、条例でこの一般の生活騒音についても適用基準を設けていますので、お住まいの地域について調べてみて下さい。
あなたの場合、お隣りとのお付き合いがあまりないようですが、ここはやはり、率直に実情を話して改善を申し入れるのが一番です。実際にどのくらい騒音と熱風がひどいものか、隣人に立ち会ってもらい実感してもらうことも必要かもしれません。そのうえで、クーラー本体の設置位置を別の場所に移してもらうとか、場合によっては防音壁を施してもらうとか、具体的な改善の方法を話し合われてはいかがでしょう。その際、けっして感情的になったりせず、あくまでも冷静に穏やかに話し合われることが肝要です。
直接話し合ってどうしても受け入れてもらえないようなときは、地方公共団体の公害担当課に相談してみて下さい。騒音測定など事実調査をして規制基準をこえていないかどうか調べてくれますし、適当な解決策を中に入って指示してくれたりもします。仮に適用できる法令がなくとも、苦情申立てに対しては、何らかの改善がなされるよう指導・努力してくれますので、積極的に申立ててみることです。
また、法的な手段としては、調停を申し立てて裁判所に中に入ってもらってお互いに和解できる点を話合いでさぐっていくやり方と、通常の訴訟を提起する方法があります。「受忍限度」めぐって争われることになり、社会通念に照らして共同生活上我慢すべき限度をこえているかどうかが判断の基準となります。受忍範囲をこえると認められれば不法行為となり、騒音を防止するための差止請求や精神的な損害賠償の請求もできます。
それでなくても夏はイライラするもの。お互いに譲りあって、気持ちのいい隣人生活ができるよう努力して下さい。
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