法のくすり箱
Q、うちのすぐ近くにマンションが建つことになりました。建設工事が始まれば工事作業による騒音や振動、ダンプカーなどの車による騒音に悩まされることにならないかと心配です。そんなことにならないよう、何か具体的な予防対策をとることはできないでしょうか?
A、建設工事に伴って発生する騒音等は、騒音規制法と振動規制法によって規制されています。規制の対象は住宅地などの指定地域に限られ、しかも規制される作業は、「くい打ち機」など騒音の著しい8種類と、同じく「くい打ち機」など振動の著しい4種類の特定建設作業に限られています。これらについては、事前の届出や改善勧告・改善命令などの制度がもうけられています。さらにこの両法に該当しない作業についても、都道府県や市町村などの地方自治体が独自の条例で規制のアミの目を細かくしています。
しかし、ご存じのように、高層ビルや大型マンションの建設工事によって起こる騒音・振動をめぐる建設主と地元住民の間の紛争はあちこちで絶えません。このため地方自治体では、建築基準法に基づく建築確認を行う際に、地元住民の同意を得るように行政指導しています。また、現実にもめごとが起きていて当事者同士で話し合いがつかない場合には仲介役として指導し、必要に応じて騒音防止の方法を改善するよう建築主に勧告したりしています。
ですから、あなたもまず、市町村の建築課に相談して適切な行政指導をしてもらうようにしましょう。
そして、建築に同意するときには後日のために、騒音などの公害防止対策を行うよう、建築主・施工者との間で協定を結びましょう。協定といっても、単なる口約束では、「あのとき確かにこう決めたのに……」ということになりかねません。協定書を作成して、書面として残すことです。
協定の内容も、「騒音防止対策を講じ、環境基準を守ります」といった抽象的なものではなく、もっと具体的に、工事時間の制限・工事車両の台数制限・防音シートなどの防音設備の設置・より低音の機械の使用といった防止対策を取り決めておかなければあまり意味がありません。具体的に条件を提示して約束していれば、実際に被害が出たとき指摘しやすくなります。さらに、約束違反に対しての取り決めもしておくべきでしょう。たとえば、「約束に違反して工事を施工したときは違約金として○○万円支払う」といったものです。
こういった協定は個人で単独に結ぶのではなく、できるだけ関係する地元住民全員で(できれば町内会や自治会といった単位で)交渉にあたれば、被害の訴えがより現実感のある切迫したものになり、協定内容をいっそう有利なものにすることができるでしょう。
このように協定を結び協定書を作成しておけば安心ですし、もし悪質な業者で後日騒音などでいざこざが生じた場合にも、工事差止めや損害賠償請求の裁判で協定違反を主張することができ、有利な展開が望めます。

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