[1992(平成4)年8月1日以降の新しい契約には、全面的に新「借地借家法」が適用されます。しかし、それ以前から成立していた契約には、その権利の存続について、旧「借地法」・旧「借家法」が適用されます。本文中、イタリック(斜字)で記した部分は、旧法が適用される古い契約には該当しないのでご注意下さい。]

法のくすり箱
Q、私は、多年借地の上に木造の2階建ての家を建てて住んでいます。2年後には借地期間が満了になりますが、私も地主もすでに老齢ですので、子供の代になっても引き続き円満な借地利用ができるように契約の更新をしたいのです。更新の可否及びその際に主としてどのような点を注意すればよいのかご助言下さい。
A、借地期間が満了しても、建物が存続しており、借地人が引き続きそこに住みたいと考えれば、通常、従前と同じ条件で契約が更新されます。
たとえ地主が契約を更新しないと申し入れたり、期間満了後の土地の使用に異議を述べたとしても、地主に自分でその土地を使う必要など「正当の事由」がなければ借地を明け渡してもらうことはできない制度となっているからです(借地借家法6条、旧借地法4・6条)。しかし、地主の側にも子供が成長して家が手狭になり借地も利用する必要が生ずる場合などが考えられ、その場合には地主と借地人とがそれぞれ土地を必要とする度合いの比較がこの「正当の事由」の有無を決することになるのです。
- むろんこの正当事由の問題は結局のところ裁判で争われるところまで行きつくのですが、双方の円満な関係を考慮すれば、納得のいく借地契約の更新ができるように努力することが先決です。あなたの方で借地期間満了に伴う再契約において、地代や敷金の面で近隣の状況を調査して妥当な契約改定を申し出るとともに、更新料の支払いについても柔軟な態度で対処されることがよいでしょう。
- 更新料は、別段法律に規定はなく、地主からの請求に対して拒否してもなんら契約違反となりません。1地主の過去の不足地代を清算するものとして、あるいは、2地主と借地人とが明渡しをめぐって険悪になり、かつ費用もかかるのを回避するためのものとして、その性質が説明されています。更新料の額は借地権の価額の5%程度といわれておりますが、東京・大阪・福岡などで地域差があるのはもちろんです。
- またあなたが、更新料や地代について円満に地主と合意に達したとしても、木造建築のための借地のままでよいかの問題があります。周辺に建物の中高層化が進行し、または進行することが見込まれる場合には、将来に備えて、借地を従来の非堅固の建物(木造)の所有を目的とするものから堅固の建物の所有を目的とするものへと変更されることをおすすめします。この場合、借地条件の変更になります。一定の対価(かなりの額になりますが)を地主に支払って承諾を得て契約書に明らかにしておくのです。
- 地主との話合いがまとまらなければ裁判所に判断してもらうことができます。非訟手続きといい、裁判所は、借地条件の変更の可否、これに伴う借地人から地主への支払金の額などを決めてくれます(借地借家法17条、旧借地法8条の2。この手続きについては、直接地方裁判所へ問い合わせるか、弁護士にご相談されるかしてください)。
- ちなみに、あなたは多年借地上にお住まいとのことですので(平成8年7月1日より以前からであれば)、旧借地法が適用されます。たとえ2年後に更新したとしても、あるいは、あなたや今の地主が亡くなり子の代になったとしても、この借地関係の存続については、旧借地法で保障されています。

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