法のくすり箱
Q、私はこれまで1度離婚したことがあり、再婚した現在の妻との間に2人の子供があります。また再婚する前にある女性と結婚するつもりで同棲し、子供までもうけましたが、結局結婚できず別れました。この子供は認知していますが同居していません。先日、戸籍謄本を取寄せる機会がありましたが、これに私の離婚した前妻の記録や認知した子供の記載があるのをみて、現在の妻がこれらの記載を今の子供達のためになんとか抹消できないかと迫るのですが、何か方法はありませんか?
A、「転籍」といって戸籍の所在場所である本籍を移転することによって可能です。日本国内であれば、誰でも、どこへでも自由に本籍を移転することができます。本籍の移転先が同一の市区町村の場合を管内転籍、本籍の移転先が他市区町村の場合を管外転籍といいます(なお上の区とは東京都の23区及び大阪・神戸・札幌などの政令指定都市の区を指します、戸籍法4条)。
そして上の管外転籍の場合には、転籍によって、従来の戸籍に記載されていた事項のうちの、@筆頭者以外の除籍者(この場合は前妻の欄)、A現に効力を失った身分事項(離婚した婚姻など)、B父の側の子に対する認知事項などは、移記されることなく新戸籍から消えてしまいます(戸籍法施行規則37・39条)。そこでたとえば、転籍して後あなた(父)が死亡した場合の相続関係で、認知された子(非嫡出子といいます)の存在を明らかにするときには、転籍前の除籍簿をみなければわからなくなります。なお、父の戸籍が転籍されたとしても認知された子の側の戸籍における認知事項の記載は当然一切変更を受けることはありませんし、認知された子が転籍する場合には認知事項は新しい戸籍にも転記されます。
転籍届は戸籍の筆頭者であるあなたか又はその配偶者(奥さん)が、本籍地か現住地のいずれかの役場で行うことができるほか、転籍地の役場で行うことも可能です(戸籍法25・108条)。
管外転籍(他の市区町村への転籍)でなければ前の戸籍の記載は消えませんのでご注意下さい。

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