[1992(平成4)年8月1日以降の新しい契約には、全面的に新「借地借家法」が適用されます。しかし、それ以前から成立していた契約には、その権利の存続について、旧「借地法」・旧「借家法」が適用されます。本文中、イタリック(斜字)で記した部分は、旧法が適用される古い契約には該当しないのでご注意下さい。]

法のくすり箱
Q、私は親の代からの借地上に建物を建てて居住しております。このたび地主から今年いっぱいで借地期間が満了するから借地を返してほしいと申入れを受けました。建物は私の代で新築して20年たちますが、まだまだ居住が可能です。年末には借地を明け渡さなければなりませんか?
A、ふつう借地人は借地期間の満了に先立って引き続き土地を借りたいと申し入れることができます(更新請求、借地借家法5条1項、旧借地法4条)。これに対して地主が異議を述べなければ従来と同じ条件で借地権が改定されたものとみなされます。
ところがこのケースでは地主がさきに借地を返してほしいといってきているのですから、あらかじめ地主の異議(更新拒絶)があったことになります。この地主の異議には、自己使用その他正当の事由が必要であるとされ、正当の事由がある場合には更新は阻止されますから借地を明け渡さなければなりません。この正当の事由は双方の必要性を参酌して結局は裁判で判定されることとなります。
とまれ、地主が異議を唱えたからといって、それがすぐに明渡しにつながるとはいえないのが実情です。あなたとしては更新請求をするとともに、継続して貸してもらえるように若干の譲歩(敷金の見直し、更新料、地代の改訂など)を含めて円満に地主と協議し借地契約の更新をはかることが得策です。
ところで、あなたが更新請求をしないでも借地期間の終了後土地の使用を継続しているならば、地主が遅滞なく異議を述べない限り借地権が更新されることになっています(法定更新、借地借家法5条2項、旧借地法6条)。
現在の制度では結局のところ、あなたが引き続いて借地の利用を希望し使用を継続すれば、地主に正当事由がない限り明け渡さなくてもよいといえます。なお、上記のような通知等は時期・内容を明らかにするため文書(内容証明郵便)でしておくことが安全です。

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