法のくすり箱
Q、隣りは空き地なのですが、いっさい手入れがなされず放置されたままで、雑草とくにセイタカアワザチソウが繁茂しています。アレルギー体質の私は、そのため毎年秋になるとぜん息の発作が起きてほんとうに困っています。地主には定期的に雑草を刈る義務などはないのでしょうか?
A、所有地をきちんと管理するということは、地主にとって最低限のモラルともいえましょう。とくに空き地に雑草が繁茂しているような所では、たとえそれがセイタカアワダチソウのように特別な被害をもたらすものでなくとも、たとえばごみなどの不法投棄を引き起こしやすく、蚊・ハエなど害虫の発生源となりがちです。また火災や犯罪が起こる遠因となることも考えられるなど、社会的に好ましくありません。
あなたの場合、まず地主に今の実情を率直に話し、定期的に除草をしてくれるよう申し入れることです。もしそれに応じてくれないようなら、市区町村役場の衛生課などに相談して下さい。この問題については国レベルで規制した法律というものはとりわけありません。しかし市町村レベルでは、環境保全条例の中で具体的に定めている場合があります。たとえば行政サイドから地主に善処方を勧告・命令できるとか、従わないときは行政が代わって除草など必要な措置をとり、その費用を地主から徴収できるなどです。
ぜひ一度、役場などへ問い合わせて確かめてみることです。こうした具体的な定めがなかったとしても、実際にあなただけでなく付近の住民が不衛生で困っていると地域の問題として苦情を持ち込むなら、行政サイドも指導に乗り出してくれるでしょう。
あなたにはもちろん、これまでの治療代や慰謝料などの損害賠償を求める訴えを起こしたり、除草を行うよう求める訴えを起こす権利もあります。しかし何より、迷惑の原因を取り除いてもらうこと(除草)があなたの本意でしょう。しかも裁判を起こすには、セイタカアワダチソウとあなたの病気との因果関係を立証したり、空き地の雑草が社会生活上耐えがたい支障を及ぼしているか(受忍限度の範囲)などについて明らかにする必要もあり、時間と費用がかかります。まずは地主と話し合い、そのうえで行政のサイドから解決してもらうのがベストの方法でしょう。

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