法のくすり箱
Q、私は女子高の1年生(15歳)です。中2(13歳)のとき父が病死し、母は、まもなく私を連れて再婚しました。その際に私は母の再婚相手の養女になっています。しかし最近母は養父と別居して自活し現在離婚調停中であり、私も母と同居しています。私は最初から養父を好きになれませんでした。この際養子縁組を解消したいのですがどうすればよいのでしょうか?
A、あなたのお母さんが再婚されたとき、いわゆる「連れ子」となるあなたを再婚相手と養子縁組させたとのことですね。あなたは当時中2ですから養女になることについてお母さんとは異なる自分の意見もあったかもしれません。 しかし15歳になるまでは、親権者であるお母さんがあなたに代わって再婚相手と養子縁組を結ぶことができます(民法797条)。そして普通、未成年者を養子とする場合には家庭裁判所の許可が必要なのですが、自分の配偶者の子を養子にするときにはこの許可は不要なのです(民法798条)。だから、養子縁組は全く親がやったことであっても、あなたとしては事実上これをとやかくいったり阻止することはできなかったといえるかもしれません。
さて養子の離縁は養子と養親との協議で行います(民法811条1項)。しかも満15歳以上になれば、あなたは単独で養父と離縁の協議をすることができます(15歳未満のときは養親と養子の実父母とが協議する、民法811条2項)。協議が調えば離婚の場合と同じように届出すればよいのですが、調わない場合には家庭裁判所に離縁調停を申立てることになります。
この調停は、あなたと養父とが双方とも離縁に合意することで成立します。たとえ調停委員が養父に離縁を勧告したとしても拘束力はありません。調停が不調のときには離縁の裁判ということになります(「調停前置」といい、原則として調停をしてから裁判に進む、家事審判法18条)。裁判をして離縁が認められるには離縁原因(民法814条、あなたの場合は「縁組を継続し難い重大な事由」)に該当することが必要です。
しかし判例は、養親子間の実質的な親子関係が客観的に破壊されていると認められる場合に、一方の当事者が離縁を望むときには容易に上の離縁事由にあたるとする方向にあり(最高裁昭40年5月21日判決)、あなたの場合、お母さんが離婚されるか、または現在の別居生活状態が続くならば離縁請求が許されうる可能性は多大と思われます。

ホームページへカエル
「婚約・離婚トラブルQ&A」目次へもどる
「親子のトラブルQ&A」目次にもどる
次のページ(娘が婿養子と離婚――養子縁組も解消するには?)へ進む