
法のくすり箱
Q1、散歩中の犬が、近くを歩いていた4歳の子どもの足にかみつきました。治療費などを飼い主に請求できるのでしょうか?
Q2、空き地をすみかにしている野犬におそわれ、大ケガをしました。野犬を取り締まっている自治体に損害賠償を請求したいのですが……
A、最近、野犬だけではなく、飼い犬による事故もよく耳にします。大小さまざまな犬が家庭で飼われていますが、犬の性格や特徴などを理解せず、無責任な飼い方をしたり管理を怠ったために、重大な事故になることも少なくありません。被害を受けるのは幼児が多く、幼児の無邪気な犬への接近やいたずら等が原因となっていることもあります。
飼い犬によって被害を受けた場合(引っかかれた・噛まれた等)、被害者は、犬の飼い主に対して損害賠償を請求することができます。これに対して、飼い主(犬を預かっていた等の場合も含まれる、最高裁昭57年9月判決)は、犬の管理に手落ちがなく、万全であったことを証明することができなければ、この請求を免れることはできません。飼い犬の管理というのは、犬の種類や性格等から、客観的・常識的に判断されます。
しかし、被害者のほうに落ち度があって事故にあった場合、損害賠償の程度は、その落ち度と飼い主の管理の状況等を考慮して判断されます(過失相殺)。
他方、野犬については、多くの自治体が、危害防止の観点から、条例に野犬取締りの規定を設けており(大阪府・兵庫県・神戸市など)、事故の場合に、自治体に条例上の義務違反があったときには、損害賠償請求の形でその責任を問うことができます。
また、自治体(都道府県・政令都市)は、狂犬病予防法に基づく野犬狩りを行っており、直接の目的は狂犬病の予防ですが、結果的には、野犬の危害防止にも役立っています。飼い主は犬をかわいがるだけではなく、野犬の発生や他人への危害防止に責任をもって飼いましょう。

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