
法のくすり箱
Q、先日、ビルの建築現場を通りかかった子どもが、上からの落下物にあたり重傷を負いました。このビルは、A会社がB会社に請け負わせて建設していたもので、B会社の下請けのC工務店の作業員Dが、誤って資材を落としたものです。損害賠償の請求をしたいのですが、誰にどのような責任があるのでしょうか?
A、まず、誤って資材を落とした作業員D個人が、過失による不法行為責任を負うこと(民法709条)、及び、作業員Dを使用していたC工務店が、事業の執行につき他人に加えた損害を賠償する責任を免れないこと(使用者責任、同715条1項)は、もちろんです。
次に、A会社は、注文者としてB会社に建築を請け負わせていますが、注文者は、原則として損害賠償義務を負いません。
これは、一般に請負関係がある場合、請負人は、注文者の指揮監督に服することなく、自己の責任において自由に独立した立場で仕事の完成を図る立場にあるからです。ただし、注文や指図に不備があり、その結果第三者に損害を及ぼしたときは、賠償責任を負います(同716条)。
またB会社は、下請けであるC工務店に対しては、A会社と同じく注文者の立場にあり、原則として責任を負いません。しかし、ひとくちに請負といってもさまざまな態様があり、請負人の独立の程度も種々に分かれています。もし下請けのC工務店が、(1)B会社の専属であり、(2)B会社の指揮監督に服している等の関係があれば、B会社はC工務店に対して使用者の地位にある者と事実上変わるところがなく、したがってB会社は、民法715条の使用者としての責任を免れません。

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