法のくすり箱
Q、父の死亡に伴い遺産を母と私達2人の兄弟で分けようと考えますが、数年前から弟が家を出たまま音信不通となっています。私(長男)は、母2分の1、残りを兄弟2人で分けようと母と話し合っているのですが、遺産の分割ができないで困っています。
A、共同相続人の1人が不在で遺産の分割ができない場合、不在者のために不在者の財産管理人の選任を得て遺産分割を進める方法があります。
あなたは相続について利害関係人ですから、家庭裁判所に対し、不在者である弟のため財産管理人を選任して貰いたいと請求し、裁判所は適当な人物を選任して財産の管理について必要な処分をなさしめることができます(民法25条)。もっともこの財産管理人は財産の「管理」行為をするのが建前であり、一般に「処分」行為と考えられている遺産分割はできないのです。しかし、財産管理人は、あらかじめ家庭裁判所に対して、財産管理人がその権限を越える処分(遺産分割)を行うことについて許可を得ることができます(民法28条)。この許可を得た弟の財産管理人と他の共同相続人であるあなた方とで遺産分割の協議をなさってはどうでしょうか。
なお弟さんの生死が7年間明らかでないときには利害関係人であるあなたが家庭裁判所へ請求することにより失踪の宣告をすることができます。家庭裁判所の出した失踪の宣言が確定すると弟さんは最後の音信があった時から7年を経過した日に死亡したものとみなされます(民法30条、31条)。これにより弟さんは死亡したものとみなして相続を開始します。すなわち弟さんに妻子があればその妻子が、弟さんに妻子がないときには母が相続人として弟さんの財産をすべて相続します。

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