法のくすり箱
Q、私の友人が、現在、拘置所にいることを知りました。預かった金を一時流用したのが返せなくて起訴され、被告人として公判を待つ身だとのこと。会って事情を尋ね、力になりたいと思います。拘置所での面会はどうすればよいのでしょうか?
A、家族や親類・知人が、拘置所に勾留中の被収容者(被疑者・被告人)を訪ねて面会することは、ごく普通に行われています(一般面会。このほかに弁護士面会がある)。
被収容者との面会は、平日の午前(8時半〜12時(大阪拘置所の場合)、8時半〜11時半(神戸拘置所の場合))と午後(1時〜4時)に、申込順に許可されます。ただし、大阪拘置所は一般面会を1日に1回、神戸拘置所は1日2回しか認めていません。遅い時間に申し込むと、その日はすでに先客があったということで面会できないことがあります。
面会時間は、30分程度許可というのが建前です。しかし、現実には、近時の被収容者・面会者の増加等を反映して、15分くらいに制限され(神戸拘置所)、10分くらいのところ(大阪拘置所)もあります。また面会は、あなた1人でなく、他の友人と一緒に面会することもできますが、面会室の広さの関係で、1回につき3名程度に制限されているのが通常です。
それから、面会中は、拘置所の係官が立ち会います。立会いを意識すれば会話がぎごちなくなるかもしれませんが、これはやむを得ません(ちなみに、弁護士面会の場合は、一般面会とは別の面会室で、勾留中の被告人と、係官の立会いなしで面会でき、時間の制限もありません)。
面会する被収容者におみやげの類を渡すことはできませんが、売店を通じての雑誌・食物・日用品などの差し入れは可能です。各拘置所には例外なく、食品や日用品を扱う売店があり、この売店にお金を支払って、この売店から直接に品物を被告人に渡してもらうシステムがとられています。これは、面会者が直接に品物を渡す場合には、危険物が授受されるなど事故が生ずるおそれがあるとの考慮からです。
ちなみに、品物ではなく現金ならば、被収容者に差し入れることが許可されていますので、係官に申し出てください。
面会に出かけるかわりに、手紙を出すことはもちろん可能です(たとえば、大阪拘置所の山田太郎さんに出すときには「大阪市都島区友渕町1丁目2−5 山田太郎様」と、拘置所の住所と受取人の氏名を宛て名として書きます)。この手紙を現金書留として現金を送ることも許されています。しかし、手紙の中身はすべて検閲を受けます。
なお、あなたのケースではそのようなことはないかもしれませんが、被告人について、まだ別件で取調べ中で証拠を隠すおそれがある場合など相当な理由があるときには、面会ができないことがあります(接見交通の制限、刑事訴訟法81条)。
ところで、あなたの友人が拘置所ではなく、刑務所に服役中の場合には、面会は困難です。刑務所に面会に行くことができるのは親族(血族6親等、姻族3親等の範囲)に限られます。親族以外の者は、特別の事情を申し立てて刑務所が許可した場合に、例外的に面会できることとなっています。また、本人への手紙も、親族以外から届いた手紙は、刑が終了するまで留め置かれて本人には届けられません。
☆ 拘置所・刑務所
拘置所は、起訴後で刑罰が確定するまでの刑事被告人及び死刑確定囚の拘置を主とする刑事施設。
これに対して刑務所は、自由刑(自由を剥奪することを内容とする刑罰で、懲役・禁錮・拘留の3種類がある)に処せられた者を収容する刑事施設。

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