Ａ、健康保険には、自己負担額が高額になってしまう場合、家計の負担を軽減するために一定の金額を超えた部分が払い戻される「高額療養費制度」があります。この制度は健康保険の被保険者だけでなく、被扶養者も受けられるのでご安心ください。



	自己負担限度額（月額）
上位所得者 （標準報酬月額53万円以上） （基礎控除後の所得600万円超）	１５０，０００円 ＋ （医療費−５００，０００円）×１％
一　　般	８０，１００円 ＋ （医療費−２６７，０００円）×１％
低所得者 （住民税非課税世帯）	３５，４００円
※　70歳以上の方がいる世帯では算定方法が異なります。 ※　食事の負担額や差額ベッド代などの費用は計算の中に含まれません。



　右表をご覧ください。月ごとに窓口で自己負担する上限の金額が、所得に応じて３段階に決められています。
　たとえば、あなたが入院されて、その月の医療費が１００万円かかったとすると、本来の自己負担額は医療費の３割、つまり３０万円です。しかし、高額療養費制度を利用すると、８７，４３０円の負担ですむことになります（一般世帯のケース）。
　とはいえ、この制度は、一旦窓口で自己負担額を支払った後、およそ３ヶ月たって差額がようやく戻ってくるシステムです。あとで差額が戻ってくるとはいえ、きびしい家計でとりあえずまとまったお金を準備するのはいかにもきびしい問題です。
　そこで、平成１９年４月１日から、入院するとき（一部在宅医療を含む）に、事前に認定証を受けておけば、窓口で支払うのはこの限度額だけでよいという新制度が導入されています（健康保険限度額適用認定制度）。一旦立替払する必要がない便利な制度です。
　手続きはいたって簡単。申請用紙に被保険者名や認定証を交付する対象者名（たとえばあなた）など簡単な情報を記入し、各保険者に提出するだけです。健保組合に加入されているなら当該健保組合に申請します。また、協会けんぽ（ちなみに、従来の政府管掌健保が平成２０年１０月１日から協会けんぽに変わっています）に加入されているなら、各支部に申請します。もし国民健康保険に加入されているなら、各市町村で手続をとることになります。
　入院する際、健康保険証にこの限度額適用認定証を添えて窓口に提出し、退院の際に認定証が返却されます。
　ところで、その月の入院費がこの限度額に達していない場合でも、世帯（被保険者であるご主人と被扶養者全員）で合算して計算する制度もあります。家族の中で、あるいはあなた自身が入院とは別に、その月に、窓口で２１，０００円以上の金額を一つの医療機関に支払っているなら、それら窓口での負担額を合計して、前表の限度額を超えている場合に差額が返金されます。ただ、この場合は、事前に認定証をもらうことはできません。従来どおり、一旦自己負担額を全額支払った上で、各領収証をつけて詳細な届出をして、後ほど差額の返金が受けられることとなります。
　なお、入院が長引くなどで、この高額療養費に該当するケースが、直近の１年間に３回発生していれば、４回目からはさらに自己負担限度額は引き下げられ、上位所得者で８３，４００円、一般で４４，４００円、低所得者で２４，６００円の定額負担となります。
　このほか、健康保険には無利子での貸付制度などもありますので、ご加入の保険者でご相談ください。
　ちなみに、高額療養費制度は保険給付の対象だけに限定されますが、所得税の医療費控除は、通院時の交通費や医薬品の購入費等広く控除対象となりますので、確定申告をされると税の返還があります。

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