Ａ、まず、ご存じのように、労働者の募集・採用については、男女雇用機会均等法（雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律）において、「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」と規定しています（５条）。したがって、募集にあたって、男子製造社員や受付係女子等、男女の別をもうけることはできません。
　かって、この男女雇用機会均等法が当初施行された１９８６年（昭和６１年）４月の段階では、労働者の募集・採用については、「事業主は、女子に対して男子労働者と均等な取扱いをするよう努めねばならない」と努力規定としていたにとどまりました（そよ風22号) 。しかし、すでに１９９９年（平成１１年）４月の改正によって、この規定は、努力規定から禁止規定へと規制が強化されています（そよ風98号）。しかも、従前は女子に不利な募集を禁ずることにその重点が置かれており、「受付係女子」といった女子のみの募集は女性の職場を広げることになると考えてこれを認めていたのですが、こうした女性のみの募集・採用、あるいは女性のみに湯茶接待の教育を行うことは、女性の職場を広げるどころか、かえって職場を固定化し、女性を限定的な仕事に限ることを正当化することにつながるとの反省がなされ、女性のみの募集も原則として禁止されました。そして今では、同法は、看護師としての資格はあっても男性だから採用されないとか、一般事務に応募しても男性は採用されないといったケースをも規制する、性による差別を禁止する内容へとさらに変化しています（そよ風146号）。
　したがって、業務の性質上特別のもの（男優・女優、防犯のための守衛・警備員など）、あるいは、男女差を解消するために特別に募集（たとえば女子が極端に少ない職場で女子をとくに募集するなど）といった場合のみに例外的に認められるものの、原則として男女の別をうたった募集、そして採用は禁止されています。あなたの会社でも、この機会に、性差にとらわれない採用を行って、新たな人材・能力を発見されてはいかがでしょうか。
　また、年齢についても、高齢者雇用安定法（高年齢者等の雇用の安定等に関する法律）により、募集に際して年齢制限を行うことは原則としてできません（そよ風132号）。やむを得ない理由で年齢制限を行う場合には、その理由を書面やメールといった文字で求職者に示すことが必要です（１８条の２）。やむを得ない理由として認められるのは、下表のようなケースです。


表　年齢制限が認められる例外〔年齢指針〕
（労働者の募集及び採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えることについて事業主が適切に対処するための指針）

１　新規学卒者等の募集 ２　年齢構成上手薄な特定の年齢層の従業員を補強するため募集 ３　何年か経験を積む必要のある業務で定年近くの層を除外した募集 ４　年功序列賃金を就業規則で定める事業所で特定の年齢以下を募集 ５　特定の年齢層向けの商品・サービスを扱う業務での募集 ６　芸術・芸能分野で表現上の必要から限定した募集 ７　労働災害の防止上、安全のため特定の考慮が必要な業務の募集 ８　体力・視力など加齢による低下があると勤まらない業務の募集 ９　中高年齢者に限定しての募集 10　労働基準法等の法律で年齢制限がある業務の募集


　ちなみに、採用が決まって労働契約を結ぶ際には、次の労働条件については、文書を交付して明示しなければなりません（労働基準法１５条１項）。

• 労働契約の期間
  
• 就業場所、従事する業務
  
• 始業・終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇、（あれば）シフト制度
  
• 賃金額、計算・支払方法、締日と支払日、昇給について（これは口頭でも可）
  
• 退職について（解雇の事由を含む）
  
また、次の事項については、就業規則等で決めている場合にはその内容を知らせることが必要です（口頭でＯＫ）。

• 退職手当
  
• 臨時の賃金、賞与、最低賃金
  
• 食費・作業用品等の労働者の負担
  
• 安全・衛生
  
• 職業訓練
  
• 災害補償、業務外傷害への扶助
  
• 表彰、制裁
  
• 休職制度
  

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