
法のくすり箱
Q、先日、ゴルフ場で私の打ったボールが先行プレーヤーにあたり、ケガをさせてしまいました。現場は見通しの悪い小山でした。スポーツ上のケガの責任はないとも聞くのですが、見舞金などは、ゴルフ場会社ではなく、私が支払わなければいけないのでしょうか?
A、普通スポーツ競技者は、競技中に通常生じる危険をお互いに受忍しあうものとされています。ですから、競技中に生じたけがは、自分の責任はもとより、他のプレーヤーによってケガをさせられた場合にも、プレー中に通常起こりうる程度のケガであれば責任を問うことはできません。
しかし、ゴルフ競技のように、数分間隔に幾組ものプレーヤーが次々にコースに出てプレーする場合には、先行者が後ろからボールが飛んでこないものと信頼して初めてプレーが成り立ち、後続者は前方や近くに人がいないことを確認してプレーをする注意義務があります。あなたの場合は、この注意義務に違反したのであり、治療費などの賠償責任は免れません(民法709・710条)。
なお、キャディの指示に従ってプレーしたとしても、同様に責任を免れません。つまり、あなたは十分な時間をとってからプレーするか、キャディに前方の安全を確認させるなど、万全の注意を払わねばならないからです。ただしこの場合には、指示を与えたキャディにも同じく責任がありますから、キャディを雇っているゴルフ場会社と相談のうえ賠償することになります(民法715・719条)。
ちなみに、ゴルフ観戦中にボールが当たったギャラリーや外野席に飛んできたフライでケガをした観客など、一般にスポーツ観戦者の事故について、ゴルフ場会社や球場会社は賠償責任を負わない旨を明示しています。観戦者自身がプレーに注目していなければならないとされているからです。
これに対して、公園や川原でサッカーや草野球をしていて、散歩中の人にボールを当ててケガをさせたような場合には賠償責任を免れません。

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