法のくすり箱
Q、子供たちがそれぞれ独立したとたん、それまで主婦として子育てに追われてきた私は虚脱状態に陥っています。この症状を「空の巣症候群」というそうですが、夫や友人から気晴らしにパートにでも出てみないかとすすめられました。パートタイマーの労働者としての地位はどのようなものでしょうか?
A、パートタイマーとは、正規の労働者の労働時間より短い時間だけ働く約束で勤務する労働者です。家庭の主婦などが、たんなる家計の補助というにとどまらず、社会参加や自己実現の場を求めて積極的にパートタイマーになるケースもあり、今や日本経済にパートタイマーの労働力は欠かせないものとなっています。
パートタイマーといえども、もちろん労働基準法上の保護をうける労働者であり(労働基準法9条)、採用時には、(1)仕事の場所・内容、(2)契約期間・退職に関する事項、(3)勤務時間・休暇・休日、(4)賃金などの労働条件が明示されなければならず、とりわけ賃金については、基本給・通勤手当・時間外労働の割増し・支払方法等を書面で交付することになっています(労基法15条)。
また契約期間は、原則としてその期間が1年をこえないかぎり自由にとりきめることができます(労基法14条)。期間を定めない場合には、原則として当事者の申し出が退職や解雇の事由となりますが、パートタイマー側には遅くとも2週間前に退職を申し出ること(民法627条)、使用者側には解雇予告や予告手当の支払いが義務づけられています(労基法20・21条)。すなわち、パートタイマーが期間の定めのない雇用契約で雇われた場合は、雇う側も、雇われる側も、ある程度恒常的に雇用関係が続くことを期待しているため、その解雇には、特別の理由(試用期間中であるなど)がないかぎり、30日前に予告するか、予告手当の支払い(即刻クビなら30日分の平均賃金、また10日後にクビなら20日分の平均賃金等々)が求められるのです。
パートタイマーは労働組合に加入できますし、労災保険の適用もありますが、雇用保険・健康保険・厚生年金保険については1週間の労働時間が正規の労働者の4分の3程度以上に及ぶ場合にだけ加入が認められています。
なお、年間パート収入が103万円以下の場合には、夫の所得において配偶者控除が受けられますが、これをこえた場合にはもはや配偶者控除が受けられなくなると同時に、パート収入に対して通常所得税がかかります。

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