法のくすり箱
Q、私は別れた先妻との間に女の子(10歳)があり、養育料として、毎月6万円と、ボーナス月には別途10万円を送金しています。この養育料は、先妻と家庭裁判所で調停離婚したときの話合いで決まったものです。しかし、私には、近々のうちに、現在の妻との間に子供が生まれます。その場合、家計が苦しくなるので、いくらか養育料の減額をしてもらいたいのですが、一度裁判所の調停の場で決まった養育料は、もはや変更できないのでしょうか?
A、変更は可能です。養育費の減額の交渉または家事調停をされてはいかがでしょう。父親であるあなたには,先妻との子であれ、後妻との子であれ、これを扶養する義務があります。その義務の程度は、子どもに対して、扶養する者と同程度の生活を保障する強い義務(生活保持義務)であり、自分の生活に余裕があれば援助すればよいといった弱い義務ではありません。すなわち、未成年の子どもに対しては、父親・母親それぞれが、その収入や資力に応じて、これを扶養するべきものとされています。
しかし、あなたが支払いを約束している養育料も、一度決めた養育料が不相当になる事情が、あなたの側か子ども側かのどちらかに生じた場合には、その事情の生じた者から、相手側に対して、養育料の増減を請求することができます。
まず、相手方に申し込んで話合いで解決するという方法があります。話合いが円滑にいかないと思われるときには、直接、家庭裁判所に養育費の変更の家事調停または審判を申し立てて、家庭裁判所に決めてもらうこともできます(民法880条)。
ちなみに、家事調停や審判で決まった養育料を支払わない者に対しては、被扶養者側から扶養者側の給料の差押えそのほかの強制執行をすることがあります。そしてこのたびの民事執行法の改正により、将来にわたって養育料の支払いを怠るとみられるときには、子どもの成年に達する時期(養育料の最終支払期限)までの給料を、毎月の養育料支払義務の範囲で、将来にわたって一括して差押えることが可能となりました(民執法151条の2)。そのような将来の給与についてまで、養育費の差押えがなされている場合にも、養育料の支払側が家庭裁判所へ養育費の変更(多くの場合減額の変更)を申し立てて,それが認められるときも考えられます。養育費の変更が認められたときには、差押えの一部の取消しの手続きをとることになります(民執法35条・153条)。

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