法のくすり箱
Q、私は工業デザインの仕事をしているキャリアウーマンです。昨年、同窓会で同業の先輩A氏と知り合い、メールを交換して仕事の助言をしてもらったり、意見を交わしたりしていたところ、このメールを見た同氏の妻B女が、私との間柄を邪推して、私が不倫しているとあちこちで言い触らすようになりました。私は心外でたまりません。A氏は妻を強くたしなめているようですが、とてもきかない状態です。もし、私の職場にまで言い触らすようなことがあれば、仕事を失うことにもなりかねないと不安が募ります。どうすればよいのでしょうか?
A、あなたが不倫しているという話を聞いた人は、当然、あなたのことを困った女だ、悪い女だなどと思い、あなたの名誉は傷つけられることになります。「A氏と不倫している」という事実を摘示して他人に言い触らす行為は、たとえそれが事実であるとしても、名誉毀損罪(刑法230条1項)という犯罪行為となり、刑罰(3年以下の懲役または禁錮、50万円以下の罰金)の対象となります。あなたが警察署または検察庁に申し出る(告訴)ことにより、B女は取調べを受けることになります。しかし、告訴に際しては、証拠(友人の証言その他)があることが大切です。
また、あなたは、事実無根の噂を流されて痛く心を傷つけられたと思われますので、民事上も、不法行為(民法709条)として慰謝料を要求できます(民法710条)。あなたが職場を失うといったことにでもなれば、結果の重大性に鑑み、かなり高額な請求が可能です。
しかし、あなたとしてはB女の行為の差止めを急がれるわけで、早急に、先輩A氏に連絡をとり、AB夫妻とあなたのほかに、もう1人第三者を入れて4人で会合して、事実を確かめてよく話し合うことを提案してはいかがでしょうか。A氏はキーパーソンであり、局外者ではあり得ません。きっと協力するはずです。そこで、A氏が、あなたやB女が納得する話合いの場を第三者をまじえて設けて、あなたは、この席でB女に対し、これ以上悪質なデマを言い触らさないように申し入れるのです。
もしそのような会談が無理であれば、弁護士に依頼して、B女に内容証明郵便を送り警告してもらうことです。B女の行為は刑事上も民事上も許されない行為であることを指摘し、これ以上継続するときには直ちに告訴等の法的手続きをとると申し向けて、その自制を求める方法です。
それでもB女の行為がやまないようであれば、早急に、まずは刑事手続き(名誉毀損罪による告訴)を進めることとなります。

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