
法のくすり箱
Q、私は、毎年1回開催される社内対抗の野球大会(日曜日)に出場中、投手の暴投で足を負傷しました。このような災害は業務上の災害として補償してもらえるのでしょうか?
A、まず、その野球大会が会社の従業員の申合せで毎年行われているのであれば、残念ながらあなたのけがは業務上の災害にはなりません。
すなわち、業務上の災害として取り扱われるためには、次の条件を満たす必要があります。第1に、その野球大会が会社の主催のもとに定例的に実施されるものであり、それによって労務管理の効果があると認められる場合。第2に、野球大会に出場することが会社から強制されている場合、つまり、通常の出勤と同様に取り扱われるものであることが必要です。
あなたの場合、毎年1回開催されているということですが、もしそれが会社の主催で、しかもその費用のいっさいを会社が負担しているのであれば、一応会社の強制があったと思われるので、その場合は業務上の事故と認められるでしょう。よってあなたは補償を請求することができます(労働基準法75条)。
ところで、あなたの場合以外にも、業務上の災害として認められるかどうか問題になるケース(出張中の災害・休憩時間中の災害・慰安旅行中の災害など)はいろいろあると思いますが、何をもって業務上にするかは法律では定義されていないのでむずかしいところです。しかし、一般的には、労働者が労働契約に基づき、使用者の支配下と認められるかどうか(業務遂行性)、及び、業務上の災害と負傷との間に相当な因果関係があると認められるかどうか(業務起因性)の2つの点を考慮し、これらがそろっていれば業務上と認められると考えてよいでしょう。
ちなみに、補償の種類には、(1)療養補償(業務上負傷または疾病にかかった場合)、(2)休業補償(業務上の傷病による療養期間中の生活を保障するため)、(3)障害保障(業務上の負傷や病気が治っても身体に障害が残った場合)、(4)遺族補償(業務上の事故によって死亡した場合、その遺族に対して)、(5)葬祭料があります。

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