法のくすり箱
Q、私は社宅住まいで毎月1万円を会社に支払ってきましたが、先月末に解雇され、立退きを求められています。いつまでに明け渡さなければならないのでしょうか?
A、社宅や寮など、従業員を対象に会社が住まわせる場合の建物の使用関係も、一般家屋の賃貸借と同様であるかどうかは問題です。
通例、退職にともなう実際の明渡しにおいては、社宅使用料の多寡や使用料の実質的性格などにかんがみて、使用関係が賃貸借か、それとも単なる使用貸借かを区別します。
そして、社宅の使用が賃貸借として借地借家法の適用があるというような場合には、会社から社宅解約の申入れは6ヶ月前になされなければならず、これが正当事由(解雇は通常正当事由にあたります)をもつときには、6ヶ月たったところで明け渡すことになります(法27条)。
しかし、あなたの社宅使用料は1万円ということですから、これは会社が賃料をとる目的で貸す賃貸借ではなく、従業員の福利厚生施設として提供され、かつ、従業員の身分を保有するかぎり存続する社宅の使用貸借と考えられます。この使用貸借は退職時に終了し、したがってあなたは即退去すべきことになりますが、実際には、ただちに次の転居先をみつけることが不可能な場合が少なくありません。そこで、多くの会社は社宅管理規定を設けて、通常、最低30日〜3ヶ月ぐらいの明渡し猶予期間をおいています。
あなたとしては、まず、会社の社宅管理規定を確認してこれによることになりますが、もし規定がない場合には、上記のような猶予期間を考慮し、会社と話し合うことです。そして相当期間は社宅に住むことを認めてもらうようにしてください(明渡しの猶予期間は、懲戒解雇のときは1ヶ月、定年退職のときは3ヶ月というのが一般的であるように思われますが、自己都合で退職する場合には、事柄の性質からいって退職時に即退去すべきものと思われます)。

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