
法のくすり箱
Q、私は、一昨年、事情があって妻Aと離婚しました。小学校に通う2人の子どもB・Cは、妻が親権者として引き取り、私は子ども2人に養育料として毎月1人当たり5万円を妻に支払うことになりました。また、2ヶ月に1回私が子どもと会って、約半日を共に過ごすことを認めるという約束でした。
ところが、最近Aは、上の子どもB(小学6年)が私と会うのを望まないので、3年ばかり会うのを遠慮してくれと言ってきました。親が子に会うのは当然の権利と思います。Aの言い分を呑まねばならないのでしょうか?
A、あなたのように、離婚後、未成年の子どもと別居している親が子どもに会う権利については、明文の規定はありませんが判例によって認められており(昭39・12・14東京家裁審判、昭59・7・6最高裁決定等)、「面接交渉権」と呼ばれています。
家庭裁判所では、面接交渉を求める親の申立てに応じて、調停や審判を行い、面接交渉の具体的な内容を決定したり、変更したりすることができます(子供の監護に関する処分、家審法9条1項乙類4号)。もちろん、家庭裁判所の調停や審判によらずとも、両親が任意の話し合いで決めることも可能で、その例も少なくありません。
あなたの場合も、おそらくそうなのでしょう。了解が得られなければ、あなたも家庭裁判所へ申し立てて、子どもさんとの適正な面接交渉の内容を決めてもらうことになります。
面接交渉はあくまで、未成年の子の福祉を害することのないように、円滑に行われなければならないものとされており(前記判例等)、次のような事実を考慮して調停や審判が行われます。
すなわち、子の福祉に反するとして面接交渉権を制限するケースとしては、
- (1) 面接の機会に暴力行為や子の奪取が危惧されるとき
- (2) 復縁の請求や嫌がらせが行われ、面接によって両親の争いが再燃するおそれがあるとき
- (3) 子が面接を望まないとき(望まない真の理由を確認するべきであるが、子が離婚前の暴力等により面接を嫌悪する場合などには認められない)
- (4) 扶養能力がありながら養育料の支払いをしないとき
などが考えられます。
いずれにせよ、離婚が一方の親との生き別れになるケースはできるだけ避けるべきであり、面接条件を工夫することにより、可能な限り面接交渉が認められるべきです。
家庭裁判所では、子どもBが面接をいやがる事由を確かめ、そのことをふまえて、面接の可否・面接する場合の具体的な条件を示すことになります。このことをあらかじめ理解されて、さらに両親の間で話し合って解決をはかるのも望ましい一つの選択です。

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