
法のくすり箱
Q、私は、事業資金が足りないという友人に懇願され、半年の約束で虎の子の1000万円を貸し付けました。50万円のお礼をするという申出にも心を動かされたのです。
ところが、返済期限になって友人は、資金がないのでもう半年だけ待ってくれと言うので、さらに50万円お礼をもらう約束でこれに応じました。そして、1年目となったところで、再び友人は、見込み違いがあったためもうしばらく待ってほしいと言うのです。どうしたものでしょうか?
A、しょっちゅうあるケースです。もうしばらく待っていても、返済されるかどうか。

最小限の問題として、借りていないなどと友人に否定されないだけの証拠(証文)は必要です。むずかしいものではありません。友人に、1)借受額(1000万円)、2)借受日(年月日)、3)利息あなたの場合なら10%(半年で50万円のお礼)、4)返済期限(必ず決めること)を、便箋などの用紙に記入してもらい、日付を書いて署名してもらうことです。もうしばらく待ってほしいなどと言わせると、ずるずる伸びるばかりです。必ず期限を定めるようにしてください。
しかし、個人に借金を申し込むような人は、担保になるような資産もなく、銀行などにも相手にされないことが多いのです。仮に裁判で返済を求めて勝訴しても、無一文の人からは何もとれません。
そこで、友人に連帯保証人を立ててくれるように頼むのも一つのやり方です。今日日、他人の借金の連帯保証人になる人は少ないでしょうが、あなたとしては請求してみる価値があります。たとえ友人の親族であったり、資力の定かでない人物であっても、できれば複数の連帯保証人がある方が、友人に対してわずかでも返済へのプレッシャーとなります。
しかし、資力の不確かな友人に虎の子を貸し付けたこと自体、あなたはすでに大きな危険を冒していることになります。むしろ、返済されるのは幸運であり、その幸運を願いつつも、最悪に備えて、せめて「証拠」と「保証人」に手を打ってください。また、できれば、一部でもいいから少しでも返金を求める交渉を併行されることです。
<ことば欄>
- ☆連帯保証人・保証人
- 「保証人」となった者は、債務者(借金等をした本人)が債務の履行(借金の返済等)をしない場合には、債務者に代わってその履行をしなければならない。
これに対して、「連帯保証人」の場合は、さらに重い責任があり、債務者と同等の債務履行の義務をもつ。このため、債権者に対して、まず債務者本人から取り立ててくれと抗弁することもできない。独立して債務の全部の履行を負うこととなり、その中の一人が弁済すれば、他の者は債務を免れる。
保証人・連帯保証人とも、債務者に代わって弁済をしたときには、債務者にその損害を弁償させることができる(求償権)。

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