
法のくすり箱
Q、突然、警察から任意出頭を求められました。事情をきくと、ある男Aが、私に竹刀でたたかれ怪我をしたと告訴したとのことです。女性の目撃者もあり、医者の診断書も出ているそうです。私には全然心当たりがありません。ただ、私は剣道が好きで、先日も、家の前で竹刀の素振りをしていたところ、駐車中の車にいたずらをしている男女をみつけ、注意すると、男は私の手の竹刀をにらみ返して立ち去りましたが……
私は、忙しい中を警察へ出向き、調書をとったり、自宅付近の現場に同行するなど協力をしました。しかし警察は、証人や診断書という証拠が揃っているので、気の毒だが、事件を検察庁に送ることになるというのです。私はどのように対応すべきなのでしょうか?
A、世の中には、こんな性質の男が執念深く報復するということがあるのですね。このような男にかかわった際には、逃げ腰は禁物です。あなたとしては、捜査側の最終の判断(嫌疑なし・嫌疑不十分)による不起訴を信じて、身の潔白を一貫して主張するほかありません。そのために時間をとられることを、残念ながら覚悟するほかありませんし、もし知り合いに弁護士がいたり、法律相談の場所があれば、相談に行ってください。捜査のポイントとなる点ですが、おそらく、
- あなたにはたしてAを竹刀でたたくまでの動機があるのかどうかの検討
- どのような経過で診断書が出されたのかの調査(外来診療録=カルテの取寄せ調査を含む)
- あなたが、終始一貫した事実を語り譲らないことへの評価
などが考えられます。
一般に、普通は、そんな無実の罪のデッチ上げが通るはずがない、あるいは、わが国ではまず冤罪は事件にできないと考えられています。そこであなたも、警察に進んで協力されたことだと思います。このような事件に巻き込まれたことを後悔せず、これからも、非行や犯罪に立ち向かうりっぱな社会人でいてくださるように心からお願いします。
なお、このケースでは、むしろあなたの方こそ、その男Aを虚偽告訴罪(刑法172条)で逆告訴することができます。あなたがどうしても腹の虫がおさまらない場合には、逆告訴することです。告訴状には、なぜAがあなたをこのような事件に巻き込んだのか、事件に至った経緯などについて、自分の主張したい事実を簡潔にまとめて書く必要があります。告訴状の書式ついては、警察や検察庁が指導してくれます。弁護士などに相談されるのもよいでしょう。
もし、相手側があなたの家や職場に立ち回るといった執念深い事態が生じたときには、直ちに、あなたを呼び出している警察に通報して対処してもらってください。また、民事上の手続きとして、あなたの半径何メートルに近づかないようにという裁判所の命令(仮処分)を出してもらうこともできます。この手続きはやや複雑ですので、法律の専門家にご相談下さい。

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