法のくすり箱
Q、街で画廊のチラシをもらい、店の人に誘われるままに、買う気もなく興味本位で絵を見に中に入りました。気に入った絵があったのでじっと見ていると、「安くするから」「分割払でいいから」といわれ、ついローンで買ってしまいました。でも、社会人になったばかりの私にはやはりぜいたくな気がして、家で絵を眺めて後悔しています。解約すると違約金がいるようですが、何とかならないでしょうか?
A、あなたは、路上で呼び止められて絵を買う契約をされました。また、ローンで支払をされています。このため、「特定商取引法(旧訪問販売法)」と「割賦販売法」のどちらもが適用され、あなたは契約の後8日間以内なら、まったく無条件に、契約を撤回することができます(クーリングオフ)。もちろん、違約金の支払なども一切必要ありません。しかし、この8日間がすぎてしまえば、原則として、もはや「特定商取引法(旧訪問販売法)」や「割賦販売法」により契約を解除することはできません。
ただ、契約の際に、たとえば、「この画家は最近人気が出てきたので必ず値上がりする」といわれて買ったのに、他の画廊で聞いてもそんな事実はないとか、あるいは、「もう時間がないから帰りたい」といったのに、しつこく引き止められて仕方なく購入した、などといった特別な事情があれば、あなたの契約には、新法「消費者契約法」(平成13年4月1日施行、くわしくはそよ風110号参照)が適用され、たとえクーリングオフ期間である8日間をすぎていても、取り消すことができることとなります(7条、ただし、ウソを知ったときあるいは契約をして出てきたときから6ヶ月以内、契約後5年以内に限る)。
また、そうした事情がない場合でも、解約の際の違約金を、通常の損害を超えて法外な額を請求することは、同様に、「消費者契約法」によって無効となりますのでご安心ください(9条)。
もし、あなたの契約が、平成13年3月末日までに交わされたものなら、残念ながら、右のような特別の事情がたとえあったとしても、「消費者契約法」は適用されません。「特定商取引法(旧訪問販売法)」や「割賦販売法」では、業者が右のような行為をすることを、罰金や刑事罰をも課して禁止していますが、残念ながら、そうした行為があったからといって、あなたが契約を取り消すことができるとは定めていないのです。<平成16年11月11日より、特定商取引法が改正され、契約を左右する重要な事項についてウソをついていれば契約が取り消せる、また、クーリングオフを妨害するような行為があれば期間をすぎてもいつでもクーリングオフできるなど、消費者保護のための一層の改正がなされています(くわしくはそよ風133号参照)。>そこで、「民法」の詐欺・強迫に該当するかをめぐって争うことになり、あなたの側にその事実を立証する重い責任が負わされることになります。
いずれにせよ、簡単にあきらめることはありません。お近くの消費者センターや法律の専門家に相談し、粘り強く交渉してみることです。また、これからの人生、契約はくれぐれも慎重に責任をもってすることを心がけましょう。

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