
法のくすり箱
Q、商談の相手方より電話で呼び出され、急いでかけつけようとタクシーを利用したのですが、道を間違えたらしく、なかなか目的地に着けませんでした。おまけに運転手からは法外な料金を請求され、やむなく払いはしましたが、このようなときでも、請求どおり払わなければならないものなのでしょうか?
A、本来、あなたには、通常かかる料金以上にはタクシー代の支払義務はありません。あなたとタクシー側(会社または個人タクシー)との間には、あなたを乗車地から目的地まで運送する契約(旅客運送契約)が結ばれています。この契約を履行する途中で、タクシー側が、故意過失その他その責に帰すべき事由により、乗客に損害を及ぼしたときには、当然、その損害を賠償しなければなりません(不法行為責任、債務不履行責任)。タクシーがわざと道を間違えて遠回りした場合はもちろんのこと、地理に不案内なために道を間違えて手間どった場合でも、遠回りによって増加した料金はタクシー側において負担すべきものです。したがって、タクシーのメーターが、通常の料金の2倍・3倍に上がっていたとしても、元来、あなたには、通常かかる料金をこえてまで支払う義務はないのです。
もっともタクシーを降りる段になって、このような料金についての交渉をすることはなかなか面倒で、少々高い程度なら乗客が泣き寝入りすることが少なくありません。しかし、勇気をもってきちんとタクシー側に申し入れをし、折り合いがつかなければ会社名・運転手名をひかえて、後日、交渉することを告げて下車する態度が肝要です。
しかし、より基本的には、このようなトラブルを未然に防止するために、あなたが、目的地までの地理をわきまえて、運転手に指示できることが望ましく、地理に不案内な場合には、乗車に際して、運転手に対し、「どこそこへ行きたいのだけれども、道はよく解っているかね」と、一言確認することが、運転手を牽制し、トラブルの発生を予防する良策だと思われます。
ちなみに、タクシーが遅れたために、商談がまとまらなかったといった特別の点については通常予想できないところで、あなたとすれば遺憾でしょうが、その賠償を請求することはできません。
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