法のくすり箱
Q、手作りのベーカリーショップをしています。先月より、女子高校生(満17歳)が販売のアルバイトにきており、休日には中学生(満14歳)も働いています。これら未成年者や年少者に労働させてもよいものでしょうか?
A、アルバイトのような臨時の雇用において、書面によらずに口頭で時間や賃金を決めた場合も、労働基準法が適用されるのは言うまでもありません。
まず、満15歳に満たない児童の使用は、労基法により、原則として禁止されますが、例外として、満12歳以上の児童であれば、児童の健康や福祉に有害でない軽作業に限り使用することができます(法56条)。休日や祝日など修学時間外における物品の販売、新聞の配達などがこれにあたります。
おたずねの中学生の場合、満14歳ということですから、修学にさしつかえない休日に販売のアルバイトをさせてもさしつかえありません。ただこの場合、使用者は、その児童の修学に支障のないことを証明する学校長の証明書と、親権者(父母)の同意書とを備えつけるたてまえとなっており(法57条2項)、さらに使用者は、労働基準監督署に届け出て、許可を得なければならない(法56条2項)ことになっています(もっとも、現在、年少者のアルバイト雇用において、この法定手続きはほとんど守られていない実情があり、問題なしとしません)。
ちなみに、映画・演劇の仕事にかぎれば、満12歳未満の児童の場合でも、子役や歌手として働くことが許されています(法56条2項但書)。
次に、おたずねの女子高生(満17歳)の場合、年少労働の禁止される年齢(満15歳未満)よりも年長ですが、まだ成人(満20歳)とはいえず、未成年者であることには相違ありません。このときは、満18歳という年齢が一つのしきりとなります。すなわち、満18歳未満の者を使用するについては、健康・安全・風紀等の観点から、いくつかの法的制約が課されています。たとえば、深夜業(午後10時〜午前5時)や危険有害業務等への就業は禁止され、バーのホステスなど酒席に侍する業務、ダンスホールその他特殊の遊興的接客業務などに従事することは許されないこととなっています(労基法61〜63・64の2〜4条、年少者労働基準規則8条などのほか、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律22条、児童福祉法34条など)。
しかし、満17歳の女子高生にアルバイトでパンを販売させることは、それが深夜労働とならないかぎりは、この制約には該当しません。したがって、使用者はその女子高生と自由に契約できますが、雇用契約はあくまで労基法にのっとった公正適法なものでなければなりません。もし使用者が、未成年者(満20歳未満)の無知・未経験等に乗じて、不利な契約を押しつけている場合には、親権者や労働基準監督署において契約を解除することができます(法58条2項)。
ちなみに、満18歳に満たない年少者を雇う場合には、年齢を証明する戸籍抄本や住民票を事業場に備えつけておくことが義務づけられています(法57条1項)。

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