新騒音環境基準スタート
幹線道路中心に大幅緩和
騒音に係る環境基準について
―平成10年環境庁告示64号―
新しい騒音環境基準スタート |
最高裁の判断は65dBが受忍限度 |
※デシベル(dB):音の大きさ・強さの単位。騒音をはかる基準として用いられる。従来のホン(A)と同じ。平成5年の計量法改正によってデシベルに統一された。
軒なみ緩和された新騒音基準 |
また時間帯は、旧基準の昼間、朝・夕、夜間の3区分から、昼間(=午前6時〜午後10時)と夜間(午後10時〜午前6時)の2つになりました。
基準値については表1をご覧ください。値は最大で10dBアップ。そのほかでも以前と同じもしくは5dBアップとなり、基準がきびしくなったところはひとつもありません。
昼間〔am6時〜pm10時〕 | 夜間〔pm10時〜am6時〕 | |
とくに静穏を要する地域 | 50dB以下 (昼45ホン・朝夕40ホン) | 40dB以下 (35ホン) |
専らあるいは主として 住居の用に供される地域 | 55dB以下 (昼50ホン・朝夕45ホン) | 45dB以下 (40ホン) |
商工業住居併用地域 | 60dB以下 (昼60ホン・朝夕55ホン) | 50dB以下 (50ホン) |
昼 間 | 夜 間 | |
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専ら住居の用に供される地域のうち 2車線以上の道路に面するところ 〔新設〕 | 60dB以下 | 55dB以下 |
主として住居の用に供される地域のうち 2車線以上の道路に面するところ 及び商工業住居併用地域のうち 車線のある道路に面するところ | 65dB以下 (昼55〜65ホン) (朝夕50〜65ホン) | 60dB以下 (45〜60ホン) |
そして道路に面する地域については、さらに表2のように、別の基準が定められています。
このうち最もきびしい基準をみても、夜間では45dBであったものが新基準では55dBに、昼間では50dBが60dB(=テレビ・ラジオの音)へと大きく後退しています(ちなみに、40dBで睡眠が妨げられるという評価もある)。
このように、総じて基準値は緩められる結果となりました。その理由として、今回の改定で騒音の評価方法が、「中央値」(一定の時間内に図った数値を大きい順に並べその中央値をとったもの)から「等価騒音レベル」(騒音のエネルギーの平均値)に変更されたことがあげられています。同じ騒音でも等価騒音レベルで評価すると中央値よりも数デシベル高い値が出るからというものです。
幹線道路にはさらに特例 屋内測定も可能 |
昼 間 | 夜 間 | |
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屋外で測定 | 70dB以下 | 65dB以下 |
道路に面した窓を閉めた屋内 | 45dB以下 | 40dB以下 |
注)近隣マンションの中・高層階も下欄の屋内基準に含まれる。 |
前述の国道43号線訴訟では、最高裁は新方式の等価騒音レベルを採用しましたが、それでも65dBを受忍限度としたのですから、この「特例」基準はその判断より後退したものとなっています。
そしてさらに、この地域については、とくに屋内での値を基準値とすることも認められることになりました。騒音の影響を受けやすい面の窓をいつも閉めて生活していると認められるときに限り、その屋内での値が昼間45dB、夜間40dB以下ならいいとするものです(近隣の高層マンションの中・上階でもこの屋内基準を適用)。そして、この屋内の夜間基準40dBは、世界保健機関(WHO)の推奨値よりも10dBも高いものとなっています。
室内が静かであれば外はうるさくてもよいといった考えには異論もあります。まして、今回の特例の対象となる幹線道路は、全国の道路の16%強にもなるのです。