投票率UP
こんなに簡単!不在者投票・投票時間PM8時まで延長!
公職選挙法の改正 平成10.6.1スタート

先の参院選(7月12日)の投票率は58%台を記録し、前回平成7年の44・52%をおおきく上回りました。これで各種選挙の投票率の最低記録更新がやっとストップしたことになります。
この投票率のアップは、長びく不況への不安や政治への不満の反映であると同時に、本年6月1日に施行された投票時間の延長や不在者投票の要件緩和などの公職選挙法の改正が少なからず影響したものと考えられます。
今改正で投票時間が2時間延長されました(法40条)。改正前は午前7時から午後6時までだったのが、午後8時までとなりました。
また今まで幼児等は投票所へ連れて入れませんでしたが、同伴できることとなりました(法58条、これについては平成9・12・19施行)。
これまで不在者投票といえば、手続きが面倒くさい、条件がきびしいといったイメージでしたが、今回の改正で非常に簡便なものとなりました。
まずは不在者投票の理由が大幅に緩和されたことがあげられます。
選挙の当日、
(1)仕事や学業、本人・親族の冠婚葬祭等の予定がある
(2)(1)以外の用事などで投票区域外へ外出・旅行・滞在する
(3)病気やケガ、妊娠や老人のため投票へ行くのが困難
(4)監獄等に収容されている
(5)交通不便な離島に居住・滞在
(6)住所移転で他の市町村に居住
といった理由が見込まれる場合には、いずれも不在者投票ができます(法49条)。
以前は、見込みではだめでしたし、(1)に関しては投票区域外に出向かなければならない場合のみでした。(2)についても市町村の区域外で、しかもやむをえない用事に限られていたのです。そのため、窓口でしつこく行き先や理由をたずねられたりして、不快な気持ちになることも少なくありませんでした。
さらに、不在者投票の時間も延長されました。午前8時30分〜午後8時30分となり(法270条の2)、印鑑も不要となりました。
これで、レジャーや買物などで選挙に行けそうもないと思ったときや、別の用事で役所等に寄ったとき思いついてその場で不在者投票、などといったこともできるようになったわけです。
具体的には投票の案内ハガキを持って市区町村役場やその出張所等へ出向きます。そして備え付けの宣誓書に住所・氏名・生年月日を記入し、不在者投票の理由に○をつけ提出したあと、投票用紙と封筒(内封筒・外封筒)をもらい投票します。これを無記入の内封筒に入れ、さらに氏名を記入した外封筒に入れて投票箱に投函するのです。この間わずか数分で終了です。
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ちなみに、特別な場合には郵便を利用して投票することもできます。重度の障害者などでは、選挙権のある市町村役場から投票用紙を送ってもらい郵便投票が行えます。またたとえば、病気やケガで入院しているときには入院先で、老人ホームなどに入所しているときには入所先で記載し、それぞれとりまとめて郵送してもらうこともできます。あるいは、被災者や学生などで住民票と違う場所に住んでいるときには、選挙権のある市町村役場へ申請して書類を送ってもらい、最寄りの不在者投票所で投票することができます。
くわしくは案内ハガキにある選挙管理委員会へお問い合わせください。
このほか選挙人名簿への定時登録回数を年4回にする(従来は1回、法19条)、選挙公報の字数制限廃止(法168条)などの改正も行われました。
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投票率を上げることが選挙の目的ではありませんが、参加しやすい環境が向上することは好ましいことです。今回の参院選では所要で投票に出向けなかった方も、次回はぜひ、この簡単になった不在者投票にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
選挙権は、民主主義の進展と同様、先人の努力によって歴史の中でようやく勝ちとられた貴重な権利です。今の生活に不満なあなた!せっかくのこの権利を捨てることなく生かしたいものです。


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