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「いじめっ子がはびこるような教室のあり方が問題」などと評論家は言いますが、現実に、いじめっ子の被害を受けている子供や親たちにとっては何の救いにもなりません。残念ながら、学校・教師のなかには、事情がわかっているはずなのに何もしてくれない非情なケースがあり、思い余った親から法律事務所が相談を受けることもあるのです。
ところで、このようないじめっ子の特徴は、必ず、複数ないし多数でたった1人をいじめることです。転校直後の長男(中2)の登校拒否から、子供が十数名のいじめっ子からリンチを受けていることを知った神戸のNさんは、ついには、いじめっ子の全部に呼出しをかけ、「これからは必ず1対1で息子とやれ、それを守らなければ俺がただではおかない」と申し渡しました。結局はこのNさんの果敢な行為で長男は快活に登校を続け、このいきさつを知って、初めて教頭が「私達ができなかったことをやって頂いて」とNさんに礼を言ったというのです。
しかし全ての父親がNさんのように行動できるものでもありません。子供がいじめられたからといって何も訴訟まで、という議論もあるでしょうが、両親の監督義務違反が子供の非行を招き他人に被害を及ぼした責任を追求する訴訟はすでに確立されているところです(昭和49年最高裁判例)。子供同士、親同士の話合いでも学校への申入れでも解決のつかない、ゆがんだ級友いじめに対して、このように法律的措置をとることは、たんにわが子のためというだけではなく、多分に公共的行為であると評価すべきです。監督義務者である父兄・学校をも含めて覚醒させることが、次の被害の続発を阻止することにも役立つと思われます。
〔参考条文〕 民 法
(不法行為の要件)
第709条 故意又ハ過失ニ因リテ他人ノ権利ヲ侵害シタル者ハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス
(監護教育の権利義務)
第820条 親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
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