道路交通法改正 平成9年10月30日一部施行

高齢歩行者・ドライバーに
やさしい車社会をめざして

〜シルバーマークに思いやりを〜

 近年の交通事故件数は、相変わらず増加の一途をたどっています。そこで、少しでも交通事故を減らすために、道路交通法の改正が平成9年5月1日に公布されました。改正法は1年6ヶ月以内に、段階的に実施されています。

高齢歩行者・高齢運転者の保護等


 さて、平成8年の交通事故死者数は約1万人弱で、このうち65歳以上の高齢者の交通事故死者数は、約3200人と他の年齢層に比べてとくに多く、また増加の傾向にあります。
 そこでこの改正で、通行に支障のある高齢者が道路を横断しようとしているときに、その歩行者から頼まれたり、必要があると判断される場合には、その場に居合わせた人は、誘導・合図その他適切な手助けをして、高齢歩行者が安全に道路を横断できるよう努めなければならないとしました(法14条)。また、ドライバーも一時停止や徐行をして、その通行を妨げないようにしなければなりません(法71条)。
 また、75歳以上のドライバーは、年齢に伴い身体の機能が低下して、運転に影響があるかもしれないと判断したときには、高齢運転者標識(シルバーマーク)をつけるよう努めることとしました(法71条の5)。つける位置は初心運転者標識(若葉マーク)と同じです。ただ若葉マークは表示が義務づけられていますが、このシルバーマークは努力規定です。ただし、このシルバーマークをつけた車には、若葉マーク・仮免許練習中表示車と同様に、幅寄せや割り込みは禁止ですのでご注意ください。違反者には5万円以下の罰金と1点減点が科されます(法71条・120条)。
 これらの改正は、平成9年10月30日から施行されています。
 このほか、高齢者等が自分の運転に自信がなくなったりしたときに、自らの申請によって免許の取消ができることになりました。なお、そのかわりに取り消した免許の下位免許を取得(たとえば普通免許を取り消すかわりに原付の免許をもらう等)することができます(法104条の4、令33条の2〜4・38条、平成10年4月1日より施行)。
 また、免許の更新期間満了日に75歳以上の人は、免許更新時に一定の講習を受けなければなりません。この講習の内容は、身体の機能低下を自覚してもらうためのもので講習時間は3時間となっています(法101条の4・108条の2、規38条、平成10年10月1日より施行)。

軽微な違反者への行政処分の免除等

 さらに平成10年4月1日からは、悪質な違反をした場合(一度に6点以上)、本人だけでなく、それを教唆したり助けたりした者(たとえば暴走族のリーダー等)に対しても免許の取消等ができることとなりました。また、免許取消の期間が最高3年から5年に延長されています(法90条・103条、令33条の2〜4・38条)。
 一方、軽微な違反者への講習が平成10年10月1日から変わりました。
 30日間の免許停止を受けたドライバーは、6時間の講習を受ければ免停期間が1日に短縮されることになっていますが、従来の制度では、軽い違反を繰り返して免停になったドライバーも、重大な違反を1回して免停になったドライバーも、同様にこの制度が適用されています。今回の改正で、軽微な違反の繰り返しの場合(過去3年間に3点以下の軽微違反を繰り返して違反点数が計6点)には、一定の講習を義務づけ、これを受ければ免停処分を課さないこととなりました(下図参照)。ただし初回対象者に限ります。

 講習の内容は、「社会活動への参加(ボランティア)+講座受講」もしくは「実車等の実技+講座受講」のどちらかを選択できます(計6時間)。社会活動は交通安全の街頭呼びかけやチラシ配布、横断歩道での誘導員、その他空き缶拾いや募金等各地の警察でさまざまなものが取り入れられています(法102条の2・令37条の8・規38条)。

*  *  *   

 このほか、平成9年10月30日からは、トレーラーの高速道路等での左端車線限定走行の義務づけ等が行われます(法75条の8の2)。
 また平成10年4月1日からは、車の運転者が速度違反や過労運転をして、その使用者(事業主)が防止のための措置を取らないときには、その状況の改善を指示し、それにもかかわらず、改善がなされないときには、使用者に対して、車の使用を制限できることになりました(法22条の2・66条の2・75条の2、令26条の7)。




ホームページへカエル
「最近の法令改正」目次にもどる
次のページ(大型二輪免許が教習所で取得できます!道交法の改正)に進む