大型二輪

教習所で免許が取れます
取得年齢は18歳に引上げ

〜道路交通法等改正〜平成8年10月1日施行

 二輪車は大型になればなるほど運転は難しくなります。そのため、“ナナハン”などと呼ばれる大型二輪に乗るための免許を取得するには、直接、運転免許試験場で行われる技能試験に合格するしか方法はありませんでした。合格者は7人に1人といわれ、93年で約8万8千人(中型免許取得者の4分の1)という難関です。
 これが、今回の道路交通法等の改正により、教習所で技能検定に合格すれば、普通の四輪自動車の免許と同じように、学科試験を受けるだけで免許を取得できるようになりました。これにより大型二輪の免許は従来よりぐっと取りやすくなると見られ、免許取得者が年間30万人に達するとする予測もあります。
 しかし、大型二輪には高度な運転技術が必要ですから、免許取得のレベルを落とすことはできません。そこで次のような改正が行われました。
 まず従来の自動二輪車免許(125cc以下の小型限定、400cc以下の中型限定、及び限定なしに区分されていた)を、「大型自動二輪車免許」と400cc以下の二輪に乗ることができる「普通自動二輪車免許」の2つに切り離し、大型二輪免許の取得可能年齢については、16歳から18歳に引き上げました(法84条3項、法88条1項)。

二輪免許はこう変わる!
従来区分自動二輪免許
小型限定中型限定限定なし
排気量125cc以下400cc以下限定なし
取得年齢16歳16歳16歳
改正後区分普通二輪免許大型二輪免許
小型限定限定なし
排気量125cc以下400cc以下限定なし
取得年齢16歳16歳18歳

 さらに、自動車教習所での二輪免許の学科・技能教習を、内容・時間ともに充実・増加させることとしました。新設された大型二輪免許と普通二輪免許の教習時間は、下表のとおりです。これにより、学科については普通免許(四輪)とほぼ同様の教習を受けることとなります(規則33条)。
 そのため、従来は二輪免許を持っていても普通自動車免許を取るときには学科試験が必要とされていましたが、これが免除されることになりました(法97条の2の3項・令34条の5)。ちなみに、自動車免許を持っている人が二輪免許を取るときには従来から技能教習・試験のみで、学科試験は免除されています。

コース別教習最短時限表――カッコ内は従来の教習時間数
普通二輪免許大型二輪免許
小型限定限定なし
技能学科技能学科技能学科
免許のない方12(8)32(23)19(11)32(23)3632
ステップアップする場合小型→限定なし→大型二輪5(4)免除(0)12免除
小型限定→大型二輪20免除
普通免許(四輪)保持者10(7)1(8)17(10)1(8)31
※なお普通免許(四輪)においては技能34時間・学科34時間

 ただ実際に自動車教習所で大型二輪免許が取れるようになるのは、まだ先の話になりそうです。というのは、自動車教習所が大型二輪免許の指定教習所になるためには、まず公安委員会に届出をし、公安委員会の決めた一定の基準を満たさなければなりません。そのためには、6ヶ月の間に公安委員会から指定された規定の人数(教習所の規模等により異なる)の教習所卒業者が、従来どおり免許試験場で実施される技能試験に、95%以上合格している必要があります(法99条・令35条、この指定前教習は早いところで今年7月に始まったばかり)。また、教習所のコースの変更や運転シミュレーターの導入なども行わねばならず、関係者は指定前教習には慎重なようです。
 大型二輪は乗り方をまちがえれば非常に危険でもあります。乗る人の意識とマナーを向上させ、安全に乗れるようにしたいものです。




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