
旅行業法等の改正☆☆
旅行会社が倒産したら…
旅行者にまず返金を義務づけ
H8.4.1施行

先号では主に、旅行業者と旅行者の間で結ばれる「旅行業約款」について述べてきました。
今回は引き続き、「旅行業法」の改正点を簡単にとりあげてみましょう。
旅行業法というのは、旅行業者に登録制度をとって適正で公正な取引が行われるようつとめ、また旅行者の安全や利便をはかるための法律です(法1条)。
この中で、旅行業者の種類が改めて次のように整理されました(規則1〜1条の2)。-
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- @ 第1種旅行業: 海外・国内を問わずパック旅行を主催できる。手配旅行ももちろんOK。
A 第2種旅行業: 国内のみのパック旅行を主催できる。手配旅行は海外・国内を問わずOK。
B 第3種旅行業: パック旅行は主催できない。ただし手配旅行は海外・国内を問わずOK。
C 旅行業者代理業: @〜Bの業者に所属し、その代理として契約を結ぶ。
旅行業法では、旅行業界の安定的な取引を保証するために、業者登録するには一定の営業保証金を供託しなければなりません(法7条)。
数年前にバブルがはじけたときには旅行業界でも倒産が相次ぎ、債権者に支払うお金がこの営業保証金ではとても足りない事態も起こりました。そこで今回この制度が少し改正されました。
営業保証金の額は、上の@〜Cの登録の種類ごとに、前事業年度の旅行者との取引の額に応じて定められることとなります(法8〜10条、規則8条)。たとえば取引額2億円未満(これが最低レベルの枠)なら、第1種旅行業では7000万円、第2種で1100万円、第3種で250万円となっています。
またいざ倒産ということになれば、この営業保証金をめぐって、契約をしていた旅行者(消費者)にとどまらず、取引先の旅行会社・バス会社・ホテル等々から大口の債権者がかけつけてお金の取り合いとなります。そこで今改正で、旅行者の債権については、それ以外の者の債権に優先して弁済を受けることができる旨が盛り込まれました(法17条、旅行業者営業保証金規則)。
旅行トラブルを個々の旅行業者で解決するのには限界があるため、業界として自主的に組織を作って苦情の処理・解決にあたり、あわせて業界内の研修につとめるために、運輸大臣の指定を受けて旅行業協会が組織されています(法3章)。
今改正で、この旅行業協会は、協会に加入している会員以外の旅行業者がからんだトラブルについての相談や解決にもあたることが盛り込まれました(法22条の3)。旅行についての苦情や相談は、お近くの旅行業協会の窓口へご遠慮なくお申しつけ下さい。
ちなみに現在、旅行業協会は、日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会の二種類が指定されています。主な連絡先は下のとおりです。
また各旅行業協会に加入している会員は、前述の営業保証金の供託に代えて、弁済業務保証金を協会に納めています(法22条の4)。倒産の際に払い戻される保証額はどちらも同じですが、弁済業務保証金の事務は各旅行業協会で行なわれていますので、払戻手続きは比較的容易になっています。またこの場合、他の債権者よりも旅行者を優先させることはこれまでからすでに盛り込まれており、しかも、最初の債権届出がなされた日から60日以内に届出があった旅行者については同日に届けられたものとして扱うという規定もあって、60日以内に届け出た旅行者(消費者)はすべて第1順位の債権者として優先的に平等に扱われるというシステムが完備されています。
これと同様のシステムが、今回、旅行業協会に属さない業者を対象にした営業保証金にも適用されることになりました(同規則2〜4条)。
相談・苦情は下記の各旅行業協会へ
(社)日本旅行業協会 |
本部 | 関東支部 | 関西支部 |
TEL03-3592-1271代 | TEL03-3592-1270 | TEL06-635-3080 |
この他、各地方に支部がある |
(社)全国旅行業協会 |
本部 | 東京都支部 | 大阪府本部 |
TEL03-5401-3600代 | TEL03-3831-8511 | TEL06-641-8008 |
この他、各道府県に支部がある |


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