規制緩和で豊かな生活?!
大型懸賞次々に
(公取委告示等改正)
ガソリン輸入自由化・低価格化
(特石法廃止等)
H8.4.1スタート
ビッグな懸賞続々登場――広がる規制緩和
この4月1日から、現金1千万円プレゼントや高級スポーツカーなど豪華な懸賞がスタートしているのにみなさんお気付きでしょうか?
これは規制緩和政策の1つとして、景品の上限額の大幅な引き上げなどが行われたことによります。
この引き上げは公正取引委員会の告示や運用基準の改正によって行われました。昭和37年に景表法(不当景品類及び不当表示防止法)という法律がつくられ、この法律のなかで、不当な景品等により消費者が惑わされたりあるいはメーカー間の競争が阻害されることを防止するために、公正取引委員会は、必要に応じて景品類の価額・種類・提供方法を制限したり、または禁止したりすることができると定めています(3条)。
オープン懸賞上限額『100万円から1千万円に!』
なんといっても消費者のわたしたちにとってうれしいのは、くじやクイズにはがきで応募するなど、だれでも応募できる懸賞、いわゆるオープン懸賞の上限額がこれまでの100万円から1千万円へと一気に引き上げられたことでしょう(公取委昭46年告示34号「広告においてくじの方法等による経済上の利益の提供を申し出る場合の不公正な取引方法」についての運用基準改正)。これによって前述のような豪華な大型懸賞がこれから増えることが予想されます。
また商品の購入者が対象となる懸賞(クローズド懸賞)の景品上限額は5万円から10万円になりましたし、商店街などが行う共同懸賞の上限額も20万円から30万円へとアップしました(公取委昭52年告示3号「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」2項・4項)。
購入者がもれなくもらえる総付け景品の額も、従来の5万円という上限規制をなくして、その商品の販売額の10%という比率規制のみになりました(公取委昭52年告示5号「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」1項)。つまり高額商品には高額の景品を付けることが可能になったわけです。
そのほか、これまで百貨店などの大型店は周辺の店舗等と一斉に共同懸賞を行うことはできましたが、独自で懸賞等を主催することはできませんでした。今回の緩和でこれができるようになりました(公取委昭29年告示7号「百貨店業における特定の不公正な取引方法」8項の削除)。
また今まで購入者に現金を還元するサービスなどは懸賞と考えられ規制の対象となっていました。しかし、この規制がはずされ、懸賞とはみなされず実質消費者への値引きの幅が広がりました(公取委昭37年告示3号「景表法第2条の規定により景品類及び表示を指定」についての運用基準改正)。
このほか企業間の景品取引もできるようになりました(公取委昭42年告示17号「事業者に対する景品類の提供に関する事項」の制限の廃止)。
これらの規制緩和を受けてメーカーや百貨店なども販売促進、利益増加の大きな武器になると期待しています。
この規制緩和の背景には、今までの景品の上限額が現在の経済・物価水準から考えて決して高くはないこと、消費者の成長で景品が公正なメーカー間等の競争を妨げないことなどがあげられます。また日本は規制が多く、外国の企業が参入しにくいことなどからも規制緩和の要求が高まっていました。
ガソリンの輸入自由化――規制の一部緩和
このほか同じく規制緩和の1つとして、4月1日からガソリンなどの輸入が自由化されました。
これまでガソリン・灯油・軽油の輸入については、「特定石油製品輸入暫定措置法」(特石法)によって、@緊急時に油種ごとの生産量を調整できる代替能力、A備蓄能力、B品質維持能力、という3つの条件を満たさなければ輸入はできませんでした。これでは事実上石油会社だけしか輸入できない条件となっていました。
この特石法は10年の時限立法で、今年の3月31日をもって廃止されました。これを受けて、上の@の条件は廃止されることとなります。しかし引き続き、Aの備蓄能力に関しては「石油備蓄法」6条及び同規則8条の改正で、Bの品質維持能力については従来の揮発油(=ガソリン)販売業法が「揮発油等の品質の確保等に関する法律」として改正され、従来どおり規制されることになっています。
このため、実際に条件を満たして輸入することのできる事業者は全国農協連合会(全農)や大手商社・大手スーパーなど限られたものとなることが予想されています。しかし、これによりいままであまり競争のなかったガソリン業界に価格競争などがおこり、ガソリンが安くなるかもしれません。
このようにわたしたちの暮らしに関係する規制緩和が徐々に行われています。消費者にとってより豊かにそして暮らしやすくなることが期待されます。
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