
政治改革4法が成立
新制度(小選挙区・政党助成など)の
定着はこれからの国民的課題

「政治改革」というスローガンは、リクルート事件以来、わが国の政界における数年ごしの課題となってきましたが、94年3月、小選挙区制の採用を含む政治改革4法(公職選挙法の一部改正・政治資金規正法の改正・政党助成法の制定・衆議院議員選挙区画定審議会設置法の制定)の成立で一応の決着をみることになりました。
衆議院議員の選挙区が、これまで3人・4人と複数の当選者を出していた中選挙区から1人しか当選者を出さない小選挙区に改められ、これに伴い、選挙区はこれまでに比べるとずっと有権者数の少ない小さな選挙区へと割りかえられます。しかし、衆議院議員の全部がこの小選挙区で選出されるのではなく、議員の総定数は、現行の511から500に減り、全国300の小選挙区選挙と、定数200で全国を2ブロックに分けた比例代表選挙の2本立てで行われることになりました(小選挙区比例代表並立制)。
そこで投票は、記号式の2票制となります。有権者は小選挙区で候補者名、比例代表では政党名が記入された投票用紙にそれぞれ○をつける方法がとられます。
新制度では政党を重視する考え方が貫かれており、比例代表による議員が政党のつくった比例代表候補者名簿によって選ばれるのはもちろんのこと、選挙運動などさまざまな面で政党に有利となっています。
政党に認定されるには、小選挙区立候補の場合@所属国会議員5人以上、A前回の選挙での得票率2%以上のいずれかを満たすことが必要です。比例代表の場合には上@Aをみたさないときには45人(各ブロックの定数の10分の2)以上の候補者をたてなければ政党要件をクリアすることができません。
このような政党に対しては、国民一人当たり250円(総額約309億円)に相当する額を、議員数・得票数に応じて、政党の活動資金として交付し助成することが決まりました。
他方、企業や団体が政党や政治家へ献金することは政治腐敗の温床との批判のあるところですが、当面、5年間に限り年間50万円までは認められることになりました。そのほか、5万円をこえる寄付は公開を義務づけたこと、選挙違反における連座制を候補者の秘書にまで拡げたことなどが注目されます。
また選挙運動期間は従前の14日間から12日間に短縮(衆議院議員選挙)されています。
これらの政治改革の背景事情の1つとして大きかったのは「政権交代のできない金のかかる中選挙区制が政治腐敗を生む」という考えでした。そこで「中選挙区から小選挙区へ」と選挙区制の改革を進め、これにリンクさせた形で政党の公費助成・政治資金の規制を進めたともみられます。
しかし、はげしい政党の離合・無党派知事の当選など、最近の政情の流動は「中選挙区では政権交代がない」「政治は政党本位で行われるべき」「中選挙区だから金がかかる」といった上の政治改革の前提に再検討を促すものがあります。


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