この記事は、1992年(平成4年)6月号に掲載されたものです。

廃棄物の排出の抑制と
分別・リサイクルをめざして



廃棄物処理法の改正(H4.6.1施行)


 現在、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)によって行われている廃棄物の処理は、排出量の増大・処理の困難なゴミの増加・最終処分場の不足等に直面しており、これに対して適正処理を確保するために種々の改正が行われました。

廃棄物の減量化・再生と適正な処理の確保

 排出の抑制と適正な分別・保管・収集・再生等が法律の目的として明確化され(1条)、国民・事業者・国・自治体等の関係者の上記目的への協力義務が明記されました(2条の3,3・4条)。そして住民参加で、減量や再生を進めるため、市町村にそのための審議会を設置したり、住民からボランティアの廃棄物減量等推進員を委嘱したりすることができるようにしました(5条の2・3)。
 廃棄物処理の業者の許可等の規制をきびしくし、処理施設についても許可・検査・環境保全等についての規制を強化しました(7・8条,8条の2)。業者への改善命令・措置命令・罰則の全般的強化(19条の3など)のほか市町村の収集車や施設で処理が困難な大型商品については製造者に対し処理の協力を求めることができるようにしました(6条の3)。

特別管理廃棄物と廃棄物処理センター

 爆発性・毒性・感染性など、人の健康や生活環境に被害の生じるおそれのある一般廃棄物(たとえば血液のついた医療ゴミ)や産業廃棄物(たとえば水銀・アスベスト・LPGボンベなど)について特別な管理処理基準をつくる(2条3・5項など)必要があります。これにより、特別管理産業廃棄物の処理を他人の委託した事業者は管理票を受託者に交付し、最終処分までの廃棄物の流れを管理することになりました(いわゆるマニフェストシステムの制度化、12条の3)。またゴミの処理施設、最終処分場の不足にかんがみ、これらの建設や運営を援助するため廃棄物処理センターという法人を制度として設置するものとしました(15条の5・6など)。

リサイクル法の制定(H3.10.25施行)


 ゴミの再生利用の促進をめざす「再生資源の利用の促進に関する法律」(リサイクル法)が、平成4年6月の廃棄物処理法の改正に先立って、すでに平成3年10月25日から施行されております。<その後、排出抑制や再利用も折り込んだ、環境負荷をへらす循環型社会を形成するための法律として改正され、平成13年(2001年)4月1日より、「資源の有効な利用の促進に関する法律」(資源有効利用促進法)と名称が改められました。>
 これらはともに、廃棄物の再生(リサイクル)に関する国の審議会の答申をふまえたものですが、一般的な廃棄物処理法に対してリサイクル法はとくに事業者のゴミ再生等への努力を強化するための特別法と考えてよいでしょう。

再生への事業者の責務

 再生資源とは、一度使用された物品・使用されずに収集又は廃棄された物品・副産物等で有用かつ利用の可能性のあるものをいいます(2条4項)。この再生資源の利用を促進するため、とくに事業者に対して、特定の業種・製品等を政令で個別に指定し、(1)利用の拡大、(2)製造段階での配慮、(3)表示への措置、(4)副産物への措置の4点について法律的措置を講じていくこととしています。平成4年段階での指定業種・製品などは、以下のとおりです。

(1)利用拡大を求められる業種
 当面、再生資源の利用の拡大を求めるべき業種として政令は、紙製造業(古紙の利用促進)、ガラス容器製造業(ガラスを砕いたカレットの利用を促進)、建設業(土砂・コンクリート塊など)の3業種を指定。
(2)製造段階で工夫が求められる製品
 今回の政令指定では、資源としてのリサイクルを考慮して設計製造するよう、次の5製品が指定されました。すなわち、(1)自動車、(2)ユニット型エアコン、(3)テレビ、(4)電気冷蔵庫、(5)電気洗濯機
(3)識別のため表示が求められる製品
 今回の指定に際しては、分別目的を容易ならしめるためアルミ製又はスチール製の飲料缶の材質表示が義務づけられました。
(4)リサイクルを促進すべき副産物
 今回、事業者は次の6種類の副産物について、今後、再利用のための計画を作成し、技術の向上に努めることが求められることになりました。(1)鉄鋼スラグ(製鉄副産物)、(2)石炭灰(電気業)、(3)土砂・コンクリートの塊・アスファルトコンクリートの塊・木材(いずれも建設等の副産物)

 なお、さらに今後の政令指定の対象として明確な方向づけが望まれるものも少なくありません。たとえば、プラスチック製品・乾電池・大型家具などの指定が早急の課題となりましょう。限りある資源を有効活用するため努力しなくてはなりません。




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