<労働時間の短縮をめざして>
週40時間労働・年休の確保など
時代の要請──労働時間の短縮 |
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年次有給休暇の付与は継続勤務6ヶ月から |
勤続 年数 |
6ヶ月 | 1年 6ヶ月 |
2年 6ヶ月 |
3年 6ヶ月 |
4年 6ヶ月 |
5年 6ヶ月 |
6年 6ヶ月 以上 |
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年休 日数 |
10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
また、パートタイマーなどで勤務日数の少ない労働者については、労働日数に応じて比例付与することが定められています([表2]参照、法39条3項)。 これは、所定労働時間が週30時間未満の者で、しかも週4日労働または年間所定労働日が216日以内の者が対象となります。したがって、たとえパートであっても、週30時間以上の者や、一日の労働時間は短くとも週5日労働とか年間所定労働日が217日以上の場合には、一般の労働者とおなじ[表1]の年休が与えられます。
週 所定 労働 日数 |
1年間の 所定労 働日数 |
勤 続 年 数 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
6ヶ月 | 1年 6ヶ月 |
2年 6ヶ月 |
3年 6ヶ月 |
4年 6ヶ月 |
5年 6ヶ月 |
6年 6ヶ月 以上 | ||||||
4日 | 169日 〜216日 |
7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 | ||||
3日 | 121日 〜168日 |
5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | ||||
2日 | 73日 〜120日 |
3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | ||||
1日 | 48日 〜72日 |
1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
もっとも、規定はあっても現実に休みがとれないのでは困ります。欧米諸国では年休はほぼ完全消化しているのに対し、日本の年休取得率は未だに55.2%(平成7年)と、50%台にとどまっています。そこで事業所ごとの計画的付与を一定程度認め、年休をとりやすくすることも認められています(法39条5項)。労働者の過半数が賛成して労使協定が結ばれ、年休の時季についての定めをしたときには、個々の労働者の年休のうち5日をこえる部分についていつとるかを指定できるというものです。
★ 労使協定
労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合には労働者の過半数を代表する者と使用者の間で交わされる書面による協定。残業や変形労働時間制についてもこうした協定による。
たとえば事業所を閉じて一斉に年休をとることも可能ですし、1年間の年休計画を立てて従業員が順番に年休をとっていくようにすることも可能です。ただし、たとえば年休が10日しかない労働者について、事業所一斉に年休を6日以上とったときでも、その労働者にはやはり5日間の年休が残される形となります。
つまり、計画的付与は年休をとりやすくする反面、従来認められてきた個々の労働者の時季指定権(いつ年休をとるかを選ぶ権利、39条4項)を奪うわけですから、病気などいざというときのために最低5日間は労働者の自由裁量に委ねる年休を確保しておくというものです。
また、年休の取得の有無を皆勤手当支給やボーナスの査定にもりこみ、年休をとった人が不利な扱いをされる例も現実に見受けられたため、「使用者は、……有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」と訓示規定がもうけられています(法134条)。
労働基準法の規定はあくまで最低限の労働条件を示したものです。労使双方の努力によってこの規定以上に条件が改善されることは好ましいことですし、すでに実現している事業所ももちろんあることはいうまでもありません。他方、こうした労働時間短縮に伴う余暇の拡大は、それを有意義につかえる、安くて豊富なレクリエーション施設の拡充や文化・スポーツ施設の充実、さらにはウサギ小屋といわれる住宅政策の改善等々、さまざまな施策を必要とします。また、残業手当てを初めから計算した上で低い基本給におさえている企業や、一方で余暇を消極的にしか利用しえない労働者の意識の遅れ等々、経済的社会的意識的な全般にわたる変革なしには、これからの成熟した真にゆたかな生活は容易には実現しないといえましょう。
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