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〜有責主義の緩和〜
(昭和62年9月2日付日本経済新聞夕刊より)
有責配偶者の離婚請求―― 最高裁、条件付き認める
高裁に差し戻し…別居期間など考慮
妻を捨てて愛人のもとにはしり以来38年間別居を続けている夫が離婚を求めて起こした訴訟の上告審判決が2日午前、最高裁大法廷で言い渡された。矢口洪一裁判長は、夫が婚姻関係の破たんに責任のある「有責配偶者」であると認定し、「有責配偶者からの離婚請求であっても、別居期間が夫婦の年齢、同居期間と比べ相当長期に及び、また養育を必要とする小さな子(未成熟子)がいない場合は、相手方の配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれるなど特段の事情がない限り、離婚を認める場合もある」との判断を示した。そのうえで本件は別居期間の長さなどから請求を認め得るが、離婚によって妻が受ける不利益について審理を尽くしていないとし、離婚請求を退けた2審東京高裁判決を破棄、同高裁に審理のやり直しを命じた。
[コメント]
その後、裁判は上記の最高裁の考え方に沿って行われており、現在、一定期間(5年程度)別居すれば、責任のいかんを問わず離婚を認める破綻主義を法律で定める動きも進んでいます。
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