スポーツは全ての人々の権利
スポーツ基本法の制定
平成23年8月24日施行
いまやスポーツは、世界共通の人類の文化であると評価されています。国民が生涯にわたって心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のものとなっています。この状況にかんがみ、昭和36年に制定されたスポーツ振興法を全面的に改正してこれをスポーツ基本法と命名し、スポーツに関し基本理念を定め、並びに、国・地方自治体・スポーツ団体の責務や努力を明らかにするとともにスポーツに関する施策の基本について定めることとなりました。
スポーツはすべての国民の権利(基本法前文前半)
国民が各々の関心や適正等に応じて、安全かつ公正な環境の下で日常的にスポーツに親しみ、これを楽しみ、又はスポーツを支える活動に参画する機会が与えられなければならない。また、スポーツは、人と人との交流及び地域と地域の交流を促し地域の一体感や活力を生み、人間関係の希薄化等の問題をかかえる地域の再生に寄与するものである。
国家戦略としてのスポーツ立国(基本法前文後半)
地域におけるスポーツの推進の中から優れたスポーツ選手が育まれることが期待される。このようなスポーツ選手不断の努力は、国際的協議大会における活躍となって国民に誇りと喜び、夢と感動を与えることであろう。これらを通じてスポーツは我国社会に活力を生み出し国民経済にも広く寄与をまた国際的な交流や貢献が国際相互理解を促進し国家戦略としてのスポーツ立国が実現されるべきである。
一生を通じてスポーツを!あらゆる機会あらゆる理解
スポーツを通じて幸福で豊な生活を営むことが人びとの権利であることに鑑み、国民が生涯にわたりあらゆる機会とあらゆる場所において、自主的・自律的に、その適正及び健康状態に応じてスポーツを行うことができるよう推進しなければならない(法2条1項)。
なおスポーツは、障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進されなければならない(法2条5項)。
国際競技大会(オリンピックなど)における競技水準の獲得
スポーツは、我が国のスポーツ選手(プロスポーツの選手を含む)が国際競技大会(オリンピック競技大会、パラリンピック競技大会その他の国際的な規模のスポーツの競技会をいう。以下同じ)又11競技会において優秀な成績を収めることができるよう、スポーツに関する競技水準の向上に資する諸施策相互の有機的な連携を図りつつ、効果的に推進されなければならない(法2条6項)。
国・地方自治体・スポーツ団体等の責務等
スポーツに関し、国、自治体(地方公共団体)は推進をはかるべき責務を負い、スポーツ団体もスポーツ推進の努力をするものとされ、国、独立行政法人、地方公共団体、学校、民間事業者その他のスポーツ関係者は相互に連携し協力することが求められる(法3〜7条)。
また文部科学大臣は、スポーツに関する施策の総合的かつ計画的な推進をはかるため、スポーツの推進に関する基本的な計画(スポーツ基本計画)を策定しなければならないこととなった(法九条)。この策定変更にあたっては、文部科学大臣は、中央教育審議会の意見をきかなければならないものとされる(施行令1条)。
スポーツ推進のための基本的施策等
@指導者の育成等
国及び地方公共団体は、スポーツの指導者その他スポーツの推進に寄与する人材「指導者」の養成及び資質の向上並びにその活用のため、系統的な養成システムの開発又は利用への支援、研究集会又は講習会の開催その他の必要な施策を講ずるよう努めなければならない(法11条)。
Aスポーツ施設の整備等
国及び地方公共団体は、国民が身近にスポーツに親しむことができるようにするとともに、競技水準の向上を図ることができるよう、スポーツ施設の整備、利用者の需要に応じたスポーツ施設の運用の改善、スポーツ施設への指導者等の配置その他の必要な施策を講ずるよう努めなければならない。また当該スポーツ施設の利用の実態等に応じて、安全の確保を図るとともに、障害者等の利便性の向上を図る用努めるものとする(法12条)。
B学校施設の利用
国立学校及び公立学校の設置者は、その設置する学校の教育に支障のない限り、学校のスポーツ施設を一般のスポーツのための利用に供するよう努めなければならないものとする(法13条1項)。
Cその他、スポーツ事故の阻止(法14条)
スポーツに関する紛争の迅速かつ適正な解決(法15条)、スポーツに関する科学的研究の推進(法16条)、学校における体育の充実(17条)が求められている。これらの点に加え、国、地方自治体によるスポーツ功労者の顕彰(表彰)。スポーツ産業の事業者とスポーツ団体との連携、協力の規定がおかれている(法18条、20条)。後者については「水着」のようにスポーツの普及、競技水準の向上についてスポーツ産業が果たす役割を重視したということであろう。
多様なスポーツの機会の確保のための行事
地域におけるスポーツ振興のための事案(地域のスポーツクラブなど)への支援、スポーツ行事(体育の日の行事、運動会、スポーツ教室など)の実施及び奨励、野外活動及びスポーツとして行われるハイキング、キャンプなどレクリエーション活動の善処奨励(法第2節)。
スポーツの協議水準の向上等のための措置
@優秀なスポーツ選手の育成等
スポーツ選手及び指導者に安んじて、競技の向上への日々を送ることが可能な環境を確保しようとする規定。すなわち、「国は、優秀なスポーツ選手を確保し、及び育成するため、スポーツ団体が行う合宿、国際競技大会又は全国的な規模のスポーツの競技会へのスポーツ選手及び指導者等の派遣、優れた資質を有する青少年に対する指導その他の活動への支援、スポーツ選手の協議技術の向上及びその効果の十分な発揮を図る上で必要な環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする(法25条1項)。」
「国は、優秀なスポーツ選手及び指導者等が、生涯にわたりその有する能力を幅広く社会に生かすことができるよう、社会の各分野で活躍できる知識及び技能の習得に対する支援並びに活躍できる環境の整備の促進その他の必要な施策を講ずるものとする(法二五条二項)。」
A企業、大学等によるスポーツへの支援
国は、スポーツの普及又は競技水準の向上を図る上で企業のスポーツチーム等が果たす役割の重要性に鑑み、企業、大学等によるスポーツへの支援に必要な施策を講ずることを規定した(法28条)。
国民体育大会や国際競技大会の開催と国の援助
1 国民体育大会は、国及び開催地の都道府県並びに公益財団法人日本体育協会が共催しているが、大会の円滑な財政運営等のため、国は、開催地都道府県及び日本体育協会に必要な財政援助を行うものとした。
2 国際競技大会において国は資金の確保につき必要な特別の支援措置を講ずるものとするが、その際には当該スポーツ団体(たとえば公益財団法人日本オリンピック委員会)との緊密な連絡を図るものとする(法26・27条)。