
危険な製品にいち早く対応を
!!重大製品事故!!
直ちに報告義務づけ→公表へ
消費生活用製品安全法の改正〜H19.5.14施行〜

私たち消費者が日常的に使う製品がもし安全でないとしたら……こんな恐ろしいことが現実に多発しています。ガス湯沸器や石油ヒーター、電気シュレッダーやベビーカー、電子レンジや乾燥機、さまざまな商品で事故が発生し、命にかかわる深刻な事態も生じています。
その原因も、設計・製造段階での欠陥にとどまらず、不正改造、長年の使用に伴う劣化によるものなどいろいろです。そして、一つの重大事故のカゲには、数百・数千に及ぶ前兆となるトラブルや事故があるともいわれます。
そこで、事故情報を行政機関がいち早くキャッチし、もし製品が原因であるおそれがあるなら、直ちに公表して、回収等の機敏な措置がとれる仕組みをつくることとなりました。そのため、「消費生活用製品安全法」が改正され、平成19年5月14日より施行されています。
「消費生活用製品安全法」では、消費者が生活のために使う製品のうち、個別の法律で特別な安全規制が図られている一部のもの(たとえば、車とその装置=道路運送車両法、食品・添加物・洗浄剤=食品衛生法、医薬品・医薬部外品・医療機器=薬事法、消火器=消防法など)を除いて、あらゆる製品が同法の対象となっています。つまり、新たな製品が出てきても、すべて同法の対象となるわけです。しかも、たとえ業務用にと製造されていても、ホームセンターなどで消費者が容易に買って使用できるものは、やはり同法の対象です。

さて、この消費生活用製品について、“重大製品事故”が発生したら、その製造業者・輸入業者は、その事故を知ったときから、10日以内に、その製品を所管する省庁(大半は経済産業省。窓口は同商務流通グループ製品安全課に一本化)に報告することが義務づけられました(34条)。
- “重大製品事故”とは、
- (1) 死亡事故
- (2) 30日以上の負傷・疾病事故
- (3) 深刻な一定の後遺障害が残る事故
- (4) 一酸化炭素中毒の事故
- (5) 火災事故
のいずれかで、明らかにその製品が原因ではないと言い切れるケースをのぞいて、すべての事故が報告の対象です。
もし、この10日以内の報告を怠ったり、虚偽の報告をしたなら、その製造・輸入業者に対して、事故情報を収集・管理・提供するための社内体制を整備するよう命令が出されます(体制整備命令、37条)。そしてこの命令に違反すれば、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処せられます(併科あり、58条5号)。
そして、重大製品事故の報告があると、ガス機器及び石油機器の事故についてはすべて、そしてその他の事故についても製品が原因であると疑われるケースはすべて、直ちに、会社名と具体的な製品名をあげて、事故の内容などが公表されることになります(記者発表と経済産業省のホームページに公表)。こうして、同様の事故が再び起こらないよう、いち早く消費者に事故の発生を知らせることとなります。
一方、製品に原因があるかどうか判然としない場合には、まずは一週間以内に事故の概要だけが公表されます(会社名・製品名はなし。商品の種類のみ発表)。そして、その後さらに分析がなされて、やはり製品に原因があると疑われる場合には、前述のように会社名・製品名が公表されるという段取りです。
もちろん、重大事故が再び起こる可能性があると判断されたなら、リコール(回収・無料修理)など必要な措置をとるよう命令が出されることとなります(危害防止命令、39条)。
ちなみに、重大製品事故に至らない製品事故については、従来どおり、独立行政法人製品評価技術基盤機構(nite,ナイト)が事故情報を収集して公表します。
製造・輸入業者だけでなく、消費者と製品を結ぶ各段階の業者にも努力が義務づけられました。
販売業者は、消費者にもっとも身近なところにいます。それだけに、事故の発生を知ったときには直ちに製造・輸入業者に知らせることが大切ですし、消費者に対して危険を知らせたり注意喚起することも重要な役割です(34条)。また、重大製品事故の再発を防ぐために、直ちに販売を停止したり、リコールのための販売リストの提供なども行う必要があります。
また、設置工事事業者や修理事業者についても、事故の発生を知ったときは直ちに製造・輸入業者に知らせるよう努めねばなりません。そしてたとえ消費者が求めたからといって、安易に不正な改造・取付けを行うことは、断じて慎まねばなりません。
* * *
重大製品事故情報については、経済産業省のホームページ
<http://www.meti.go.jp/product_safety/index.html>
で常に最新の情報が確認できます。安さだけに躍らされない、賢い消費者となりましょう。


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